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 喘息はアトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎とともに3大アレルギー疾患のひとつです。喘息はアレルギー体質のある子どもが、呼吸器系の感染症に罹患した時やダニや室内塵などのアレルゲンを吸入した時に発病します。その他に大気汚染、食物、タバコ、昆虫、ペット、薬物、心理的なストレス、気候の変化など様々な因子で発作が誘発されます。

 以前、子どもの喘息は大人になれば自然に治ると考えられていました。これは喘息発作時の気管支の収縮は一時的なもので発作が治まれば元通りになると考えられていました。しかし最近、喘息患者の気管支には慢性の炎症性変化が起こっていることが明らかにされました。この炎症のせいで発作は慢性化しやすく、発作を繰り返す度に過敏性が亢進し、少しの刺激でも発作が誘発されるようになるとされます。この炎症を抑える治療をしなければ、気管支は器質的な変化を起こし、喘息はさらに治り難くなると考えられます。

 以上の理由で成人では喘息の治療には気管支の慢性炎症を取り除くのに吸入ステロイドが用いられることが多くなりました。従来もステロイド薬は注射や内服で用いられて喘息発作の特効薬とされていたのですが、持続して使用すると、副腎抑制など全身に副作用が出るために使用が制限されていました。これに対して、吸入ステロイドは体内に吸収されることが無く、急速に治療の主役になってきました。今後は小児に使いやすいステロイドの吸入薬の出現を望みたいものです。

 以上は発作が起こった時の治療ですが、喘息はその発病や発作を予防することが大切です。そのためにはアトピーなどのアレルギー素因を持つ人は、原因アレルゲンを検索して環境からダニやほこりなどのアレルゲンを除去すること、また起こりやすい季節や気象条件を知って注意すること、運動療法や鍛練療法によって体力や精神力をつけて、規則正しい生活習慣をつけることはとても大切です。

2002年11月26日掲載

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