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 日常の診療で、奇応丸について、よくたずねられる。奇応丸は救命丸とならんで、動植物性和漢薬であり、薬事法のよって承認されている。医薬品には病院や診療所で用いられる医療用医薬品と市中の薬局で売られている一般用医薬品があり、これらをあわせると、四万種以上にもなるが、そのうち一万六千種が一般薬で、奇応丸もその一つということになる。

 奇応丸には約30銘柄があり、この中歴史的にも古いものは「○屋奇応丸」で、三百年も前から使われている。さて、奇応丸の成分はオゴウ(牛黄)、ジャコウ、ユウタン(熊胆)、ニンジン、ジンコウ(沈香)の五種で、剤形は小粒(米粒の九分の一)で苦みはなく、赤ちゃんでも飲ませ易くできている。

 奇応丸の使い方を筆者なりに考えてみると、効能書きには小児の神経質、かんむし、夜泣き、かぜひき、ひきつけ、めびえ、下痢、乳はき、食欲不振、胃腸虚弱とあるが、髄膜炎や脳炎に伴うけいれんやてんかん、などに使うのは不適当である。また急性の乳児下痢症も対応を急がなければならない場合が多いことを考えると、西洋医学的な治療を優先すべきである。夜泣きや息止め発作などを示す、かんの強いこども、神経質児に対しては、西洋医学の領域でも、有効な方法が見あたらない場合もあり、このような場合に奇応丸などを試すのが良いのではないかと考える。すぐには効果のみられないこともあり、一カ月ほど服用を続けてみることだ。

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