徳島県医師会 トップページへ

  • 文字サイズ標準
  • 文字サイズ拡大
文字サイズ変更について
県民の皆さまへ

朝起きたら頭痛やめまい

 【質問】中学生の娘が朝なかなか起きられず、起こしても頭痛や目まいがして学校に行けないことがあります。逆に午後は元気になり、夜は眠れずに遅くまで起きていて悪循環になっています。怠けているのかと思いましたが、違うようです。娘は起立性調節障害(OD)ではないかと思います。まず病院は何科を受診すればいいですか。また、どんな検査や治療をするのですか。ODの場合の家庭での対応方法を教えてください。娘への対応で学校に何を頼めばいいですか。

早寝早起き 適度な運動を

 末広ひなたクリニック院長 松岡 優 先生

【答え】 ODの好発年齢は9~16歳です。症状は一過性の頭痛、腹痛、胸痛、立ちくらみ、乗り物酔い、倦怠感などの身体的不調があります。長く立っている時や風呂場で気分が悪くなる人もいます。朝が起きづらく、午前中は体がだるい。午後になると改善し、仮病や生活リズムの乱れなどと誤解を受けやすいです。体をあまり動かさないため寝付きや眠りの質も悪く、翌朝が起きられない悪循環に陥ります。重症例は顔色が優れず、元気がなく、学校も休むことがあり理解が求められます。

 小児科や内科では臥位と立位時の脈拍や血圧の変動を見る起立試験や24時間心電図による自律神経機能検査で診断します。その結果から<1>起立直後、または5~20分後に血圧が下がる「起立性低血圧」<2>血圧は下がらず、脈拍を早くすることで血液の循環を維持する「起立性頻脈」<3>立っていると吐き気や顔面蒼白、血圧低下で失神しそうになる「血管迷走神経性失神」―の3タイプに分かれます。血液検査や画像検査や脳波にはまず異常が出ません。

 子どもに合った生活指導と薬物療法をします。生活指導は早寝早起きと適度な運動。心のリラックスが大切です。予防は朝、目が覚めた時に布団の中で足の指を動かす体操と温かい飲み物、そして「きょうも一日頑張るぞ」との自己暗示が有効です。

 また、元気な時に循環血液を増すため、筋肉を付けるのが大切。特に、下半身の筋肉を鍛える運動がいいです。

 脱水すると症状が出やすくなります。少なくとも1日に1・5リットルの水分と10~12グラムの塩分を取りましょう。薬物療法は血圧を上げる内服薬や自律神経薬や漢方薬を使うのが一般的。症状が出た時は横になり、目を閉じて足を高くし、息を鼻からゆっくり吸ってゆっくり口から吐く呼吸も効果的です=図参照。

 体調不良、昼夜逆転、不登校の中には、ODが認められます。アレルギーや滴状心(小さい心臓)などの体質やゲーム脳や人間関係やストレスも密接に関係します。そのため子どもを取り巻く環境に配慮する必要があります。

© TOKUSHIMA MEDICAL ASSOCIATION.