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【質問】 立っているのがつらい痛み

 40代後半の妻が「急性虫垂炎」と診断されました。以前から腹部に不快感があり、立っているのもつらいほどの痛みに襲われることがあったと言います。風邪かと思っていたようです。どのような病気なのか、また治療法について教えてください。



【答え】 急性虫垂炎 -抗生剤か手術療法で対処-

田岡病院(徳島市万代町4丁目) 吉岡一夫

 奥さまは既に回復されたこととお察しします。急性虫垂炎とは、大腸の一部である盲腸にくっついている虫垂という小さな腸に便などが詰まり、細菌が繁殖して炎症を起こした状態と考えられます。

 昔は診断が遅れて虫垂から盲腸の部分にまで炎症が及んだため、俗に「盲腸」と呼ばれていた病気です。典型的な症状は、なんとなくむかむかしたり、胃が痛んだりするような症状や微熱があります。次第に右の下腹の辺りが痛くなり、もっとひどくなると、歩いても響くような痛みになって熱も上昇します。

 最初のうちの症状は、胃の辺りと虫垂の神経が通じているために起きる「関連痛」と呼ばれています。症状が進むと、「歩いても響く」とか「おなかを押さえておいて、ぱっと離すと響いて痛い」というような、いわゆる腹膜炎の症状が出てきます。

 「後医は名医」という言葉がありますが、最初の症状のときに虫垂炎と診断するのは、なかなか容易ではありません。一般的に、最初の胃の辺りの痛みから、右の下腹の痛みに移行するまでは24時間以内です。

 ご相談の「以前から腹部に不快感があり、立っているのもつらいほどの痛みに襲われることがあった」ということが、急性虫垂炎で自然に改善したのかどうかは分かりません。

 だとすれば、慢性虫垂炎の再発性急性虫垂炎と考えられます。また違う病気であったのかもしれません。同じような痛みを来す病気としては、突然痛み出す尿管結石、通常の腸炎、虫垂と似ていますが短く大腸から突出した憩室の炎症である大腸憩室炎、婦人科的には卵巣炎、卵管炎、子宮外妊娠、単なる便秘など多数挙げられます。

 診断法には、通常の触診や、白血球・CRP(炎症反応)を調べる血液検査、超音波(エコー)、CTなどがあり、中でもCTの発達によって、格段に診断能力が上がりました。

 治療法は大きく分けて、抗生剤という細菌に効果のある内服、注射で抑える、いわゆる「ちらす」と言われる方法、そして手術療法があります。

 最近では、特に初期の虫垂炎で発見された場合は、抗生剤治療を選択される場合が多いようです。ただ、文献によっても異なりますが、再発率が28~55%とされていますので注意を要する上、症状が悪化した場合は手術が必要になります。

 手術療法には開腹手術と腹腔鏡下手術があり、双方に利点、欠点がありますが、最近は腹腔鏡で行われることが多くなりました。腹腔鏡下手術では虫垂の部分だけではなくおなかの中全体が見渡せますし、通常ではおなかに三つの小さな穴を開けて行うのに対して、穴を一つ開けるだけでの手術も行われるようになるなど、技術や器具の進歩は目覚ましいものがあります。

 このように患者の状態、症状の進み具合によって、治療法や手術方法について最も適切なものを選ぶようになってきています。

 奥さまがどのような治療法を選択されたのか、ご質問からは推測できませんが、順調に治癒されたことをお祈りいたします。抗生剤療法では再発の可能性もあり、また、手術療法でも3カ月ほどは違和感が残ります。お大事になさってください。

徳島新聞2012年5月20日号より転載

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