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【質問】 視界の中心がぼやける

 70代の男性です。右目の視界の中心がぼやけて見え、病院で老人性黄斑変性症と診断されました。どのような病気で、完治はするのでしょうか。このまま放置すると見えなくなるのでしょうか。



【答え】 老人性黄斑変性症 -早期治療で進行とめて-

すがい眼科 院長 菅井哲也(鳴門市大津町吉永)

 老人性黄斑変性症は加齢黄斑変性症とも呼ばれ、近年、特に増加している疾患として注目されています。眼底(網膜・脈絡膜など)の加齢性変化を基礎として発症し、黄斑(眼底の中心部)に出血や腫れを起こす疾患です。その名の通り、60歳以上の高齢者に多く、男性は女性の約3倍多く発病します。また、患者のうち、両目に発病する方が約20%います。

 眼底の中心部が障害されるため、発病初期から軽度の視力低下や、視野のゆがみを自覚することが多いようです。病状が進行すると視力低下やゆがみが強くなり、周りは見えるものの、視野の中心(見ようと思うところ)が見えなくなります。視力が0.1を下回ることも多く、日常生活に大きく支障を来します。

 病院では視力検査や眼底検査が行われ、最終的な確定診断は、眼底の造影写真やOCT検査(眼底の断層写真)によります。造影写真は、目薬で瞳孔を広げた後に造影剤を点滴しながら眼底を撮るもので、10分ほどかかります。OCT検査も、瞳孔を広げて専用の検査装置で眼底の撮影を行います。全く痛みはなく、数秒で終わります。

 治療法は近年、大幅な進歩を遂げています。以前は主に、レーザー光線で患部を焼くという治療が行われていましたが、病気の進行は止まっても、視力が大幅に低下したり視野が欠けたりと、必ずしも満足な結果が得られませんでした。

 今、行われている治療は主に2つあります。光線力学療法(PDT)と抗血管新生薬(抗VEGF)療法です。前者は、特殊な薬剤を点滴した後にレーザー光線を当てる治療で、数日の入院が必要になります。後者は薬剤を直接、眼球内へ注射する方法です。通常、入院の必要はありません。どちらの治療を選ぶかは、黄斑変性症の種類・状態によります。

 これら2つの方法によって、治療成績はかなり改善してきています。しかし、発症する前の状態にまで回復することはまれで、病気の進行を止めて多少は改善する可能性があるという程度です。

20111030老人性黄斑変性症

 つまり、病気が進行してから治療を始めても、大幅に改善することは難しく、やはり、早期発見・早期治療が大切ということになります。特に高齢者の方は、片目が悪くなっても気づかないことがよくあります。片目を隠して左右の目の見え方を比べてみることを習慣にしてください。また、片目で障子の桟など碁盤の目状のものを見てみるのも非常によい方法です。ゆがみや欠けがないか、試してください。

 ご質問の患者の場合、病気の進行状態は分かりません。右目だけの症状ということですが、左目には異常はないのかを調べることが大切です。また、完治までは難しいとしても、病状の進行を食い止めることは可能ですし、場合によっては改善するかもしれません。ぜひ、主治医に相談してください。

徳島新聞2011年10月30日号より転載

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