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【質問】 歩きにくい状態が続く

 77歳の女性です。太ももやひざの裏側、ふくらはぎが引きつっているような感じがして、歩きにくい状態が続いています。いすから立ち上がったときも、ひざをギュッと押さえて足を伸ばしてから、歩き出します。もう年だから仕方ないかな、と思って病院には行っていません。先日、新聞で見たのですが、79歳の男性が筋萎縮性側索硬化症という病気で亡くなっていました。それが少し気になっているのですが、どんな病気でどんな症状が出るのか、治療法はあるのか教えてください。



【答え】 筋萎縮性側索硬化症(ALS) -神経内科の専門医で検査を-

国立病院機構徳島病院 院長 足立 克仁

 歩きにくい状態が続いているとのことであり、日常生活に不便を感じていることでしょう。質問は、筋萎縮性側索硬化症(英語の名称の頭文字をとって「ALS」と略します)とはどんな病気か、また、自分がこの病気ではないか、ということだと思います。

 まず初めにお伝えすべきことは、質問に書かれている「ふくらはぎが引きつる」とか「歩きにくい」などの症状は、ただちにALSを疑わせるものではないということです。この病気であるか否かは、経過を含めてもう少し詳しい症状の記述が必要です。

 ALSについて簡単に説明します。運動の信号を脳から脊髄を経て筋肉まで伝える神経の経路を運動ニューロンといいます。この経路に異常(神経細胞の変性や消失など)が生じるため、筋肉を動かせなくなったり筋肉が萎縮したりしていく病気がALSです。

 通常、中年以降に症状が現れます。ALSが存在する頻度は、人口10万人当たりに5人くらいとされています。多くは非遺伝性ですが、5-10%くらいが遺伝性といわれています。

 最初は手足の力が入りにくくなったり、言葉がしゃべりにくくなったり、物が飲み込みにくくなったりします。次第に体全体の筋肉が萎縮し、筋力の低下が起こって歩けなくなったり、呼吸筋が萎縮するために呼吸が徐々に苦しくなってきたりします。しびれなどの感覚症状、自律神経症状、認知障害などは認められず、運動ニューロンのみが選択的に障害される進行性の神経疾患です。

 原因については現在いろいろと研究されているところですが、いまだ不明です。国が指定する特定疾患で、いわゆる難病の一つになっています。

 根本的な治療法はありません。現在、治療薬として認可されているのは1種類(一般名・リルゾール)のみです。この薬は病気の進行を若干抑えますが、残念ながら治癒させるものではありません。また、肺活量が高度に減少している人にはお薦めできません。

 症状を軽減させるための治療(対症療法)は重要です。過度の運動はよくありませんが、関節の動きを保つためのリハビリや呼吸筋を鍛えるリハビリは大切です。さらに、飲み込みにくくなった場合には、その症状の評価やこれに対する対策も必要です。

 最初に書いたように、あなたの症状は必ずしもALSに結び付くものではありません。自分の病気に関して心配があるのでしたら、ぜひ神経内科の専門医に相談し、必要な診察や検査を受けてほしいと思います。

 神経内科の専門医は徳島県内にもいます。専門施設や専門医を詳しく知りたい場合は、日本神経学会のホームページで調べるのも一つの方法です。

徳島新聞2007年2月18日号より転載

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