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県民の皆さまへ

 今月はインフルエンザについてお話ししてきました。インフルエンザにはA型とB型がありますが、いずれの型でもかかると高熱が急に出て頭痛や咽頭痛、筋肉痛や消化器症状など全身の症状が出現します。このウイルスはのどや鼻の粘膜から侵入して人の細胞内で増殖しきわめて短期間にウイルスを放出し、この時に発病します。潜伏期間は1~3日です。昔からインフルエンザは数十年毎に新型ウイルスが出現して、SARSと同じように大勢の犠牲を出したことが知られています。つい最近までは治療薬はありませんでした。治療と言えば、発熱や痛みに対する対症療法のみしかありませんでしたが、ここ数年の間に抗ウイルス薬が開発され一般に使用できるようになりました。

 インフルエンザの治療薬はまずA型にだけ効果のある薬剤がみとめられましたが、この薬には神経系の副作用があり使いづらい点がありました。その後、A・B両型に有効な吸入薬と内服薬が開発され、昨年やっと小児用の薬が発売されました。昨年はインフルエンザが例年よりも多く発生したため薬剤の不足に悩まされました。しかしこの薬剤は世界の生産量の60%を日本で消費するなど全世界の子どもたちがこの薬で治療できる状態にはありません。豊かな国、日本ならではの現象と言えるでしょう。
 
 検査キットや抗ウイルス剤の使用でインフルエンザに対する取り組みに大きな変化が生じていますが、乳幼児にとってインフルエンザが重篤な感染症であることに変わりはありません。神経疾患や喘息などアレルギー疾患、その他の慢性疾患を持っている人はとくに注意が必要です。インフルエンザは毎年、少しずつ変異して流行を続けています。数十年に一度、新型のインフルエンザが出現すると考えられています。新型ウイルスには現在の抗ウイルス薬はもちろん効きません。感染予防を心がけ、安静、保温、栄養、睡眠などに注意して寒い時期に体力を消耗しないように注意してください。

2004年1月27日掲載

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