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 インフルエンザに対する医療には最近、大きな変化が見られました。ひとつはワクチンについての再評価がなされたこと。もうひとつは迅速診断キットの開発と治療薬の発売です。とくに診断キットと治療薬はインフルエンザに対する医療を根本的に変えてしまうものです。つまり正確に診断して効果のある抗ウイルス剤で治療を行うことが出来るようになったのです。そのために治療期間が短縮し、合併症で苦しむことも少なくなり、不必要な薬剤の使用も減少しています。

 以前には寒い時期に高熱が出て風邪症状があれば、ほとんどの疾患をインフルエンザ様感冒として治療していました。しかし感冒の中にはインフルエンザ以外のウイルスによるものや細菌感染による疾患が紛れ込んでいた可能性があります。これまではインフルエンザの診断にはウイルス分離や血中抗体価の測定を行っていました。ウイルス分離は現在でも限られた施設で行われるに過ぎません。また血中抗体価は病気が治ってから上昇するので、実際に苦しい症状がある時の治療には役に立ちませんでした。しかし迅速検査のキットを使うと20~30分以内に結果が判定でき、治療には大変役立つようになりました。

 検査は鼻汁や咽喉粘膜から試料を採取して試薬と反応させるのですが、実際のウイルス分離に比べると試料の種類や採り方、その採取時期などによって異なる結果が出ることがあります。これは採取された試料中のウイルス量が少ないと正確な結果が得られない場合があるためです。検査時期が早すぎる場合や咽喉粘膜の擦過の仕方が弱い時には、インフルエンザであっても結果が陰性になることがあります。あまりインフルエンザを恐れて、発熱直後に医療機関を受診して検査を受けても正確な結果を得ることが出来ない場合があります。もちろん症状が激しく重症感がある時には急いで医療機関を受診する必要があります。発熱以外の症状や全身状態、周囲の人や家族のインフルエンザ流行の有無などを参考にして、迅速診断キットは上手に利用したいものです。

2004年1月20日掲載

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