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副作用で日常生活に支障
 【質問】30代女性です。数年前から花粉症に悩まされています。処方された抗アレルギー薬を服用すると、眠くなって運転や仕事に支障が出ます。漢方薬は眠くならないと聞いたのですが、長く服用しないと効かないのでしょうか。眠くならずに症状を抑える方法はありますか。
  吉野川医療センター耳鼻咽喉科 藤本知佐 先生
 眠気が出にくい薬も
 【答え】抗アレルギー薬は、花粉症などのアレルギー疾患では代表的な治療薬です。くしゃみや鼻水、目のかゆみといったアレルギー症状を引き起こす物質「ヒスタミン」の働きを抑える効果があり、1日1、2回内服すれば、数日で症状が改善します。
 ただ、副作用として眠気を誘発することがあります。抗アレルギー薬を服用すると、脳の覚醒作用があるヒスタミンの働きも抑えられ、眠気の原因となるのです。
 眠気が強ければ、仕事や運転、学業などに支障を来し、薬の服用を続けられません。このため、近年では各製薬会社が眠気の出にくい薬を開発しています。
 医師が処方する抗アレルギー薬には、眠気を催さない薬剤が豊富にあります。担当医と相談し、眠気のない薬剤を選べば副作用による眠気は解消されるかもしれません。
 なお、体内に取り込まれた抗アレルギー薬が分解される過程で、薬物代謝酵素の一種が関係しています。日本人の約20%は、遺伝的にこの酵素の働きがやや弱く、1%未満は働きが非常に弱いことが分かっています。このため同じ薬を服用しても、眠気などの副作用が出やすい人、つまり「薬に弱い人」が存在します。
 薬に弱い人は、眠気が出ないとされる抗アレルギー薬を服用しても、眠気が出る場合があります。そうなれば、投与量を減らすか、治療薬を変更するといった対応が必要です。
 他にも医師が処方する効果の高い薬剤として、鼻噴霧用ステロイド剤があります。毎日1、2回繰り返して噴霧すると、数日で鼻の症状が改善します。眠気の副作用はありません。
 鼻詰まりがひどく、薬剤が鼻の中に到達しない場合は、鼻粘膜の腫れをひかせるロイコトリエン受容体拮抗薬の併用が有効です。ただ、最大の効果が現れるまで2週間ほどかかります。
 なお、市販の点鼻液の多くには、血管収縮剤が含まれています。血管収縮剤は速やかに鼻詰まりを改善させますが、効果は持続しません。乱用に陥りやすく、注意が必要です。
 漢方薬については「小青竜湯」が、花粉症を含む鼻炎全般に有効です。小青竜湯の原料となる生薬の一つはマオウ(麻黄)です。マオウの主成分「エフェドリン」が交感神経を刺激して数日間で症状が改善するので、長く服用しなくても効果が出ます。
 眠気の副作用はないものの、不眠、動悸、頻脈などの交感神経刺激症状が生じることがあります。1日に2、3回の内服を続ける必要があり、飲み忘れに注意が必要です。
 スギ花粉症が発症する春先は、自律神経のバランスが崩れ、生理的にも眠たさを感じやすい季節です。鼻詰まりのため夜間睡眠時に無呼吸発作を繰り返すと、熟睡できずに日中の眠気の原因となる場合があります。副作用以外にも眠気の原因があるかもしれません。

 

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