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【質問】 料理の味付け、濃くなった

 55歳の主婦です。家族から最近、ご飯などの味付けが濃くなったといわれます。確かに、物を食べても、風邪をひいたときのような味のなさがずっと続いています。これは味覚障害なのでしょうか。そうだとすれば、治す方法はあるのでしょうか。



【答え】 味覚障害 -亜鉛含む食物の摂取を-

酒巻耳鼻咽喉科医院 酒巻 孝一郎(美馬市脇町)

亜鉛を多く含む食物
魚介類
カキ、カズノコ、イカ、サザエ、煮干し
海藻類
アマノリ、アオノリ、ワカメ、ひじき、寒天
肉類
牛レバー、牛肉、豚肉、ウインナーソーセージ
豆・種実類
小豆、きな粉、カシューナッツ、アーモンド、ごま
野菜類
パセリ、干しシイタケ、カブナ
穀物
そば粉、玄米、薄力粉
飲料
抹茶、せん茶、ココア、紅茶
 味覚障害の可能性があります。味覚障害の症状には<1>味覚減退(食べ物の味を薄く感じる)<2>味覚消失(味が全く分からない)<3>自発性異常味覚(何も食べていないのに、いつも苦い味がする)<4>悪味症(食物が何とも表現できない嫌な味になる)<5>異味症(ある食べ物や飲み物の味が本来の味と変わった味がする)<6>解離性味覚障害(甘みなど特定の味が分からない)-があります。ご質問のケースは<1>の味覚減退にあたると思われます。

 味覚を感じるのは味蕾(みらい)という受容器で、舌の表面を覆っている乳頭の中に存在します。味蕾は味細胞が集まってできていますが、味細胞は新陳代謝が非常に活発で、短い周期で新しい細胞に生まれ変わります。この新陳代謝に欠かせないのが亜鉛などのミネラルです。亜鉛が欠乏すると味細胞が十分作られず、味覚が低下してしまいます。

 そのため、味覚障害の原因は、亜鉛の欠乏に関連するものが多いです。亜鉛の欠乏は、偏った食事、極端なダイエットなどによる摂取不足によるもの以外に、亜鉛キレート作用(ミネラルを包み込む作用)の強い添加物が使われている加工食品によって、体内に入った亜鉛の吸収が妨げられて起こる場合があります。

 亜鉛キレート作用のある薬剤もあり、同様の理由で味覚障害が起こることがあります。味覚障害とその可能性がある薬剤は、利尿剤、降圧剤、抗パーキンソン薬、抗うつ剤、精神安定剤、睡眠薬、抗リウマチ剤、鎮痛剤など非常に多いです。

 耳鼻咽喉科(じびいんこうか)での治療は、舌の状態を観察し、乳頭の萎縮(いしゅく)がないか、乾燥していないかを確認します。口腔(こうくう)の乾燥や、だ液の分泌の低下も味覚障害を起こすからです。次に、血液検査で血液中の亜鉛の数値を調べ、さらに問診で服用薬剤がないかを確認します。血液中の亜鉛の数値が正常でも、味細胞内では亜鉛が欠乏している場合も考えられます。治療では亜鉛製剤を処方し、日常の食事でも亜鉛を多く含む食物《別表》を摂取するよう指導します。

 味覚障害の原因は他にも、義歯や舌炎など口腔内疾患、腫瘍(しゅよう)や脳血管性疾患など神経障害の疾患、糖尿病・肝不全・腎不全・鉄欠乏性など全身疾患、口腔内乾燥を起こす疾患などたくさんあります。

 今回のケースは、味覚障害の自覚症状は軽いようですが、味覚障害があると味付けをどんどん濃くしたり、甘い物を取りすぎたりして、高血圧や糖尿病になることも心配されます。亜鉛製剤の効果も、味覚障害の発症から治療までの期間が短いほどよいので、早めに専門医を受診されることをお勧めします。

徳島新聞2008年11月23日号より転載

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