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【質問】 白く分厚い爪 治らない

 50歳の男性です。足の爪(つめ)が爪水虫と言われ、皮膚科で飲み薬をもらい半年服用しましたが、治りません。爪が生え替わると治るというようにも言われましたが、爪は白く分厚い状態のままで四年ほどたっています。痛みはないのですが、水虫の状態がどうなっているか分からず不安です。何かよい治療法があれば教えてください。



【答え】 爪甲の変化 -あらゆる疾患を念頭に-

戸田皮膚科医院 戸田 則之(徳島市安宅1丁目)

 爪は爪甲(そうこう)、爪郭(そうかく)、爪母(そうぼ)からなり、1日に0.1~0.15ミリ伸び、その速度は、加齢とともに遅くなります。また、親指ほど速く、小指に向かう順に遅くなると言われています。単に「爪」というときは爪甲を指しますが、爪甲の形、大きさ、厚さなどは、人種や個人によって違います。 

 爪甲の変化は、爪母、爪郭の病変によることが多いのも事実です。ですから爪の病変を見た場合、あらゆる疾患を念頭に置き、診断をしなければなりません。

 さて今回の質問で分かり得る情報は、<1>白い爪<2>分厚い爪<3>水虫の治療をしたが治らない-の3点です。

 <1>の白い爪、爪床(そうしょう)部の変化により爪甲が白っぽく見える状態です。これらは肝硬変や腎障害に伴うことがありますし、飲酒癖の長い人にも見られることがあります。

 また、爪甲内に異常があったり、爪母に角化異常があったりすると、白濁が生じます。最も多いのは、爪甲内への真菌(カビ)の進入です。爪母に対する機械的な外力や寒冷刺激、さまざまな炎症などの結果、同様の症状が見られることもあります。具体的には、爪白癬(はくせん)、爪甲白斑、冷凍凝固法後の白斑、爪乾癬(かんせん)、掌蹠膿庖症(しょうせきのうほうしょう)などです。

 <2>の分厚い爪は肥厚爪と思われますが、爪甲自体が厚くなる場合と、爪甲下角質増殖による場合があります。爪甲の発育方向が上方を向くにつれて爪甲は厚くなります。したがって、爪甲下に角質増殖が起こると、爪甲は上方を向いて発育することになり分厚くなります。また、伸びるのが妨げられても爪甲は分厚くなります。黄色爪症候群、爪甲鈎彎(こうわん)症、爪白癬などがその例です。

 <3>についてですが、質問内容では治療時期が分かりかねます。内服治療終了後、どれくらいたっているのでしょうか。爪甲全体が痛んでいる場合、治療直後には目に見える効果がなくても、半年から1年すると徐々にその効果が見られるものです。最近の内服薬は70~80%と改善率が高いのが特徴ですから、もうしばらく経過を見ることも大事です。

 もし、治療後四年もたっているのであれば、別の内服薬で再度治療を行うのも一つの手段です。しかし、改善しない原因として、別の疾患を合併していないかを判断する必要があります。先に述べましたように、全身性疾患、薬剤性、職業性あるいは生活習慣などで発生してくる爪の変化も多いことを忘れてはいけません。自分一人で悩まず、もう一度医師に相談してみてはいかがでしょう。何かよい治療法が見つかるかもしれません。

徳島新聞2008年9月28日号より転載

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