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【質問】 手術後しわがれ声に

 67歳の男性です。4月下旬に甲状腺腫瘍(しゅよう)の摘出手術を受けました。手術後は声がかれるかもしれないといわれていましたが、今、風邪をひいたときのようなしわがれ声になっています。電話や雑音のある所では話がしにくいですし、普通の状況でも人と話をするのがおっくうです。もう少し声が出せるようになりたいのですが、治療方法や訓練方法はないものでしょうか。



【答え】 反回神経まひ -耳鼻科で声帯チェックを-

徳島県立中央病院 耳鼻咽喉科医長 堀 洋二

 声帯運動を支配する反回神経は、脳神経である迷走神経が下降し、左は大動脈弓を、右は鎖骨下動脈を反回したあと気管に沿って、甲状腺裏面から咽頭に分布します。このため甲状腺の手術の際には、この反回神経まひ(声帯まひ)が問題となります。

 質問の内容から推察しますと、甲状腺手術後の発声障害であり、反回神経まひが疑われます。声帯は左右に一対存在し、これを振動させることで声の元ができます。しかし、声帯がまひすると、のどの奥にある声門が完全閉鎖しなくなり十分な振動が得られないため、声がれや発声持続時間の短縮などの症状ができます。

 通常、成人男性は一息で30秒くらいの連続発声が可能ですが、反回神経まひになると10秒以下、ひどい場合には3秒くらいになります。会話する場合は、何回も息継ぎをしながら、しかもかれた声になので、聞く方はなかなか理解しにくくなります。

 声帯まひが起こっていれば、まず薬物投与を主体とした治療が行われます。ビタミンB12、血管拡張剤、ステロイドなどが投与されますが、並行して音声治療を行うこともあります。音声治療は発声時の声門閉鎖や、過度の緊張の軽減、呼吸の調節などの訓練です。

 これらを6カ月程度行って、十分な効果が得られない場合に外科的治療を考えます。現在の医学では、動かない声帯を動かすことは不可能ですので、閉鎖しない声門を元々狭くしておくことで発声時に閉鎖しやすくします。つまり、まひした声帯を内側に寄せる手術です。これには本人の自家脂肪注入や、シリコンブロックで声帯を寄せる、声帯の軟骨自体を寄せるなどの方法があります。

 ただ、声門は肺から続く気道の一部であり、狭くし過ぎると呼吸困難を起こすので、慎重な手術が必要です。手術にかかる時間はだいたい1時間から2時間くらいです。

 まずは主治医の先生と相談した上で、耳鼻科を受診してはいかがでしょうか。耳鼻科では鼻からファイバースコープを挿入し、声帯運動に問題がないかをチェックします。ファイバースコープ自体は3~4ミリ程度の細いものですので、ほとんど苦痛はありません。

徳島新聞2007年7月15日号より転載

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