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【質問】 かゆみ・痛みで水仕事困る

 77歳の主婦です。古希を過ぎたころから、毎年11月から翌年3月ごろまで、手足の霜焼けに悩んでいます。赤く腫れあがり、かゆみと痛みで水仕事などが思うにようにできず困っています。病院でもらったビタミンE錠やアリナミンなどを服用し、ユベラ軟こうを水仕事の後と就寝前にマッサージをしながら塗布しています。血液検査は異常ありませんでした。20歳になるごろまでも、霜焼けで困っていました。今まで大病もせず、体調は普通です。何かよい治療法はないのでしょうか。



【答え】 霜焼け -生活習慣改善し予防を-

福原皮膚科 福原 耕作(小松島市南小松島町7)

 霜焼けは誰でも知っているありふれた病気ですが、医学的には研究されることが少なく、あまり良い治療方法もない厄介な病気だともいえます。

 一般に、霜焼けは最低気温が低く、1日の温度差が大きくなる季節にできやすいといわれています。湿気も関係するため、とても寒いシベリアや北海道には少なく、冬に氷が張るくらいの寒さで、しかも湿気の多い地方に多く見られます。

 寒さに対する血管の収縮と回復の機能が動脈と静脈でアンバランスなため、末しょう組織で血液の流れが滞り、十分な酸素や栄養分が皮膚の細胞に届かなくなって組織が破壊され、生じると考えられています。

 症状としては、寒冷にさらされることで循環障害の起こりやすい手足や耳、鼻、ほおなどが赤く腫れます。ひどい時には水膨れになったり裂けたりします。冷えると痛み、温まるとかゆみが増強します。

 4~5歳くらいの子どもに多く、成長とともに軽快し、小学校高学年になると出なくなります。比較的女性に多く、思春期以降まで長引くことも多いようです。また、高齢になるにつれて末しょう循環障害が起こりやすくなるため、霜焼けのような症状を呈することがあります。

 ただ、同じ環境に暮らしながら、成人や中高年になって初めて霜焼けを生じた場合や、春先を迎えて暖かくなっても霜焼けが改善しない場合は、膠原病(こうげんびょう)などを疑う必要があります。霜焼け以外にも皮膚症状があったり、発熱、倦怠感(けんたいかん)、関節痛、目や口内の乾燥感を伴う場合などは注意が必要です。

 残念ながら、霜焼けに特効薬はありません。一般には血行を良くする作用のあるビタミンEの飲み薬や塗り薬、漢方薬などを使いますが、ひどくなってからではなかなか改善しないことも多いので、霜焼けになりやすい人は予防が大切です。

 予防の第一は、寒さと湿気を避けることです。寒くなる季節を迎える前から、外出時は手袋をはめたり耳当てをしたりして、直接寒さにさらされないように気を付けます。体が冷えても手足の血行が悪くなるので、全身の防寒を心掛けてください。

 仕事場や居間、寝室など住まいの温度管理にも注意が必要です。こたつや電気毛布を使用するのもよいでしょう。また、皮膚がぬれると、水分が蒸発する際に熱を奪って皮膚温が下がるので、水を触ったらすぐに乾いたタオルで十分に水気をふき取ってください。

 洗顔や炊事、洗い物は必ず温水を使用し、できれば手袋を用いて手がぬれないようにした方がよいでしょう。靴下は蒸れにくい五本指タイプで保温効果の高いもの、靴もきつくない余裕のあるサイズを使用してください。

 個人差はありますが、入浴時に手足をマッサージしたり、温水と冷水に交互に1分程度つける「温冷交互浴」も効果があるといわれています。ただし、霜焼けがひどくなってからでは、過度のマッサージや温冷交互浴は炎症を悪化させます。季節が悪くなる前に、温度変化に慣れさせるという目的で行った方がよいでしょう。

 ビタミンEも寒くなる前から飲み始めた方が効果が高いようです。相談者の場合は、すでに病院を受診され、他の病気の鑑別や投薬もされているようなので、これ以上の治療については難しいかとも思います。さらに悪化させないためにも、もう一度生活面について改善できる点がないか見直されてはいかがでしょうか。

徳島新聞2007年1月28日号より転載

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