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【質問】 子どもの背中などに発疹

 6歳の子どものことで相談します。背中とおなかに発疹ができたり治ったりを繰り返しています。ひどくかゆがるときもあるのですが、しばらくするとかゆみも取れるようです。冬は乾燥しているのでかゆいのかな、とあまり気にしていませんでしたが、野菜が苦手で偏食していることもあり「アトピー」ではないかと不安になってきました。慢性化しているようにも思えるのですが…。小児科を受診すればいいのでしょうか。



【答え】 アトピー性皮膚炎 -まず皮膚科で診断を-

えもとこどもクリニック院長 榎本 新也(徳島市北沖洲3丁目)

 相談内容からは、お子さんの皮膚がどのような状態なのか推測できないので、的確な答えとなっていないかもしれませんがご了承ください。まず、心配されている「アトピーの症状ではないか」ということについて説明します。

 一般に「アトピー」といわれているのは「アトピー性皮膚炎」のことで、アレルギーが原因となる子どもの代表的な病気の一つです。ちなみに、アトピー性皮膚炎、気管支ぜんそく、アレルギー性鼻炎・結膜炎、じんましんが子どもの4大アレルギー疾患といわれています。

 アトピー性皮膚炎かどうかを診断するための基準は学会などからも出されていますが、ここでは一番簡単な厚生労働省のガイドラインを紹介しておきます。それによると<1>かゆみのある皮疹が<2>良くなったり悪くなったりを繰り返しながら<3>経過が長く(乳児で二カ月以上、幼児で六カ月以上)続いている-ということが前提になります。

 そして、他の皮膚の病気、例えば接触性皮膚炎、とびひ、皮膚カンジダ症、おむつかぶれなどではないことが条件となります。これを除外診断と言います。また、お父さんやお母さんら家族に前述のアレルギー疾患の人がいるか、またはいたかという、アレルギーの家系かどうかも参考にします。アトピー性皮膚炎はアレルギーが原因となる病気と説明しましたが、言い換えると、その病気や症状を引き起こす原因、つまり犯人がいることになります。

 〈図〉は厚労省のガイドラインからの引用です。乳幼児では食物が重要な原因となっています。それ以降では食物だけでなく、ダニやカビなどの環境因子をはじめ、多くの原因があるといわれています。また、食物でも乳幼児は卵や牛乳が多く、児童では大豆や小麦などが多くなるなど、年齢によって原因は違ってきます。

 アレルギーの原因を見つけるためには血液検査のほか、プリックテストやパッチテストなど皮膚を使った検査がありますが、食物アレルギーがあるかどうかは検査だけでは分かりません。検査の結果も含めて、原因となっている可能性のある食物を完全に除去して症状が良くなるか、良くなったらその食物を食べて再び症状が出るかどうかで診断する必要があります。これを除去誘発試験と言います。

 以上、アトピー性皮膚炎の概要を説明しました。「小児科を受診すればいいでしょうか」とのご質問ですが、まずは皮膚科を受診し除外診断を含めてどのような皮膚の病気なのかを診断してもらい、適切なスキンケアの指導をしてもらってはどうでしょうか。

 その上で、なおかつ症状が改善せずに続くようならば、アレルギーが背景にないかどうかをアレルギー専門医に相談されるとよいと思います。

徳島新聞2007年1月21日号より転載

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