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【質問】 視力回復手術を受けたい

 30代の男性です。現在、左右とも視力が0.1でコンタクトレンズと眼鏡を併用しています。最近、身近な人がレーザーによる視力回復手術を受け、コンタクトレンズや眼鏡の煩わしさから解放されたと聞き、手術を真剣に考えるようになりました。視力はどのくらいまで回復するのでしょうか。また、手術の危険性はないのでしょうか。さらには数年後に副作用が出たり、老眼で再度手術を受けたりしなければならないということはないのでしょうか。費用のことも気になります。詳しく教えてください。



【答え】 レーザー屈折矯正手術 -約90%が視力1・0以上に-

藤田眼科 院長 藤田 善史(徳島市佐古六番町)

 近視の人は遠くが見えにくいため、眼鏡あるいはコンタクトレンズを利用することが一般的です。しかし、最近ではエキシマレーザーという特殊なレーザーで、近視と乱視を同時に治す方法が、日本でも行われるようになってきました。これは五年前に厚生労働省が認可したPRKという方法ですが、現在、普及しているのはLASIK(レーシック)という近視矯正手術です。


 通常、外にある景色は、目の表面にある透明な角膜と水晶体で屈折され、網膜の表面に像を結びます。この像を認識することで見えるのです。しかし、近視の人は網膜の手前に像が結ばれるため、遠くのものはぼやけて見えることになります。レーシックは角膜の一部をレーザーで取り除き、角膜の屈折度を変えて近視と乱視を治す手術です〈図参照〉。

 手術は通院で可能です。麻酔の目薬をさした後、マイクロケラトームという電動のかんなで角膜表面の一部をめくり上げます。矯正したい近視と乱視の量をコンピューターで計算し、エキシマレーザーで正確にその分の角膜を取り除きます。その後、めくりあげた角膜を元に戻して終了です。手術時間は、両眼で30分ほどです。

 手術後の痛みはほとんどなく、翌日にはほとんどの人が良好な視力を得ることができます。手術後1.0以上の視力が得られる確率は約90%で、ほとんどの人が眼鏡やコンタクトレンズなしで、快適に日常生活を送ることができるようになります。

 この手術は、20歳以上で近視および乱視が安定している人、眼鏡やコンタクトレンズを使用したくない人、緑内障や糖尿病による目の合併症などがない人が適応となります。しかし、非常に強い近視の人、角膜が悪い人などは、手術を受けられないこともあるので、屈折矯正手術を行っている眼科医に判断してもらう必要があります。

 質問の男性は視力が左右ともに0.1程度の近視ということなので通常、手術を受けることは可能です。危険性についてはきちんとした適応を守り、レーシックに慣れた専門医のもとで手術を行えば、まず問題はありません。副作用も心配していますが、適応をきちんと守れば大丈夫です。

 また、老眼は45歳から50歳ぐらいの年齢になってくると、目の調節する力が衰えてくる老化現象の一つです。これはレーシックを受けても、受けなくても起こります。レーシックを受けた人は老眼になると、遠くは見えますが、次第に近くが見えにくくなってくるので、老眼鏡はかけなければなりません。

 費用は保険が適用されないので、各施設によって金額が多少異なりますが、おおまかには両眼で30~50万円くらいになります。その他、詳しいことについては、屈折矯正手術を専門に行っている眼科医に相談してください。

徳島新聞2005年5月8日号より転載

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