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【質問】 高い音が鳴りっぱなし

 58歳の女性です。約3カ月前から耳鳴りに悩まされています。最初は時々だったのが、今ではほとんど鳴りっぱなしです。少し高めの「ミイー」という音が左頭からします。耳鼻咽喉科で聴力、脳神経外科でMRIの検査をしましたが、異常はありませんでした。治療法を教えてください。



【答え】 耳鳴り -薬物と心理的な治療を-

布村医院 布村 進作(徳島市助任本町4丁目)

 自覚的耳鳴り(本人以外には聞き取れない耳鳴り)は原則的には、外耳道から聴覚中枢にいたる聴覚伝導路のどこかに不備があるために起きる耳疾患の症状と考えられます。耳鳴りは難聴や目眩(めまい)などを伴っていることが多く、他の症状があるために、それ自体はさほど苦痛にならない場合もあります。一方では、生命の危機がなくても、一度、耳鳴りがひどくなると、睡眠が妨げられたり、安定した日常生活が脅かされたりすることも、まれではありません。

 質問の女性は、難聴や目眩などの症状はなく、耳鳴りだけのように推察されます。オージオメータによる聴力検査や一般的な耳鼻咽喉科の領域で診察され、MRIによる画像検索でも問題がなかったことで、無難聴性耳鳴りと考えられます。

 耳鳴りは無難聴性のほか、伝音難聴性、感音難聴性、混合難聴性の4種類に分けられます。後の3種類は、耳鳴りを起こす原因となる疾患が発生する部位や、仕組みの解明が比較的進んでいて、伝音難聴性は中耳炎を、感音難聴性はメニエル病や突発性難聴を、混合難聴性は中耳炎を合併した内耳性難聴などを考えてもらえばと思います。

 近年の聴覚医学の目ざましい発展により、無難聴性耳鳴りと診断されたうち、内耳や後迷路(内耳よりも中枢側)に異常のあることが報告されています。しかし、無難聴性耳鳴りの大半は聴覚経路上のどこかで、どのようなメカニズムで発生するのかも明らかでなく、治療を一層困難にさせています。現時点では、無難聴性耳鳴りに対する標準的治療法は確立されておらず、さまざまなものを組み合わせて対処しているのが実情です。

 大別すると薬物療法と薬物以外の2つの治療法に分けられます。以下に代表的な無難聴性耳鳴りの治療法を示します。

 薬物療法としては、急性感音性難聴の治療に用いられるステロイドの漸減療法が挙げられます。長期間経過した例でも、耳鳴りが軽くなることが少なくなく、発症の早期例では耳鳴りがなくなることもあります。全身状態が良好で、他に心配な疾患がないのであれば、短期間のステロイド漸減療法を勧めます。

 漢方治療は一般的に即効性はないものの、著しい改善が30%を超え、感音難聴性耳鳴りに比べて有効性が高かったとの報告もあり、選択の余地がありそうです。末梢(まっしょう)循環の改善や末梢神経障害の是正を目的とした薬剤も併用されていて、一時的でも耳鳴り音の軽減・抑圧を図る補助薬も使用されています。その他、第一選択とはなり得ませんが、ステロイド鼓室内注入療法や星状神経節ブロック療法(局所麻酔薬を使用)が一部の施設で行われています。

 薬物以外の治療法として、耳鳴りマスカー、バイオフィードバック、心理療法などが挙げられます。これらの治療法は「身体症状としての耳鳴りに対する診療や治療に際して、精神身体的両側面への配慮が常に必要とされる」という観点に基づき、耳鳴りに上手に対処する能力を高めることで、耳鳴りの自覚的な大きさと苦痛を軽減することを主な目的として行われます。これらの非薬物療法だけで耳鳴りが完治することはありませんが、耳鳴りマスカー療法による抑制効果は60%を超え、その抑制持続時間は2~3時間の例が多いと報告されています。

 無難聴性耳鳴りの病態・成因が不明な現状では完治例は少なく、有効な薬物療法とともに心理的側面を考慮した治療法が望まれます。

徳島新聞2002年5月26日号より転載

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