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【質問】 粘い鼻水がのどにたまる

 70代の女性です。3年ほど前から粘い鼻水がのどにたまって困っています。特に食後は、食物の切れ端がのどにたまった鼻水やたんに引っかかります。就寝後も鼻水がのどにたまり、せきが出て度々目が覚めます。耳鼻科では鼻水がのどに流れ込んでいるので、仕方がないといわれ、飲み薬をもらいました。服用すると4~5日で舌が黒く、口の中がガサガサになり、食べ物の味が分からなくなります。どのように治療すればいいのでしょうか。



【答え】 後鼻漏 -炎症あれば治療必要-

谷口耳鼻咽喉科クリニック 院長 谷口 雅彦(板野郡松茂町広島)

 まず、鼻の仕組みと働きから話します。鼻腔(びくう)内には線毛と呼ばれる細かい毛状構造を持った細胞が多数存在します。この線毛の運動で鼻腔内の分泌物(鼻汁)は前方から後方へ運ばれ、咽頭(いんとう)に達し、さらに重力により下方へ移動します。これを後鼻漏といいます。

 鼻汁は異物をとらえて取り除いたり、吸い込んだ空気を加湿したりするため、常に鼻腔内に少量存在します。このため後鼻漏は正常な人でも認められますが、鼻や副鼻腔に炎症(鼻炎や副鼻腔炎)があれば、当然その量は増えます。ご質問の鼻水がのどにたまるのは、この後鼻漏という症状です。

 慢性の後鼻漏の代表的な原因は、慢性副鼻腔炎(いわゆる蓄膿(ちくのう)症)、アレルギー性鼻炎で、ほかには腫瘍(しゅよう)など特殊な病気があります。

 次に後鼻漏の治療ですが、大きく分けると鼻汁の除去、薬物療法、手術になります。鼻汁の除去で最も簡単な方法は鼻をかむことです。外来治療では薬液の噴霧により粘膜の腫(は)れをひかせて鼻汁を吸引除去(鼻処置)し、炎症があればネブライザー療法(抗生物質や消炎剤などが入った薬を霧状にして吸入する)を行います。微温生食水などによる鼻の洗浄も粘い鼻汁の除去には効果的です。

 薬物療法では、鼻汁の粘度を低下させ、排せつを促す消炎酵素剤や粘液溶解剤があります。これらの薬剤は、副作用が比較的少なく長期間の投与が可能です。

 また、鼻・副鼻腔粘膜に細菌の感染があれば、抗生物質もしばしば投与されます。後鼻漏の症状が続いている人に、マクロライドという抗生物質を通常の半分の量にして長期間内服する療法があります。これは本来の抗菌作用ではなく、線毛の働きを高める作用、炎症を抑える作用、免疫を調節する作用、粘液の過剰な分泌を抑える作用などがあるといわれています。

 さらにアレルギーが関与している場合には、抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬も投与します。このような治療で治りにくい場合は手術があります。

 最近では、慢性副鼻腔炎に対する内視鏡的鼻内手術、アレルギー性鼻炎に対するレーザー手術などがよく行われています。

 最後に、高齢者の中には鼻鏡所見、エックス線検査で副鼻腔炎、鼻炎を認めないにもかかわらず、後鼻漏を訴えるケースがあります。原因ははっきりしませんが、ある意味で生理的なものとも考えられ、軽い場合は治療の必要がない場合もあります。しかし、かなり頻繁に後鼻漏を生じる場合には、鼻処置などの局所治療や抗ヒスタミン薬などの薬物が投与されることがあります。ただ異常でない後鼻漏でもひどく不快に感じる方と、逆に異常な量の後鼻漏でも全く気にならない方がおられます。

 あなたの場合、鼻や副鼻腔に異常(特に炎症)があるかどうかは文面からはっきり断定できませんが、炎症があるのなら治療が必要です。今回、薬で舌が黒くなったということですが、これは黒毛舌といって抗生物質やステロイド剤などの投与で誘発される場合が多いといわれています。また、のどが渇くのは、抗ヒスタミン薬の副作用の可能性があります。

 これらの症状が薬による副作用の可能性が高いようであれば、内服薬をほかのものに変えるか、局所の処置を中心に治療するかを主治医とよく相談されて、治療を進めてはいかがでしょうか。

徳島新聞2001年8月12日号より転載

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