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【質問】 高血圧の薬で尿酸値上昇?

 63歳の主婦です。40歳代からずっと高血圧の薬を服用しています。そのせいかどうか分かりませんが、最近、右足の小指から足首に沿って、数秒ですが激痛が走り、指に何かが当たりでもすると、飛び上がるほどの痛さを感じます。血圧の薬を長期間服用していると、尿酸値が高くなると聞きました。痛いのは尿酸値が上がったことによる痛風のためでしょうか。それなら尿酸値を下げる薬を飲めば治まるのでしょうか。



【答え】 足の痛み -定期的に血液検査を-

松島医院 院長 松島 興夫(徳島市南矢三町3丁目)

 最近、足の痛みが痛風ではないかと心配して来院する患者さんが増えています。痛風が増えて身近な病気になってきたためでしょう。

 痛風は、血液中の尿酸値が長年、高い状態で続いた場合に、関節や内臓、特に腎臓に尿酸が沈着して障害を起こす病気です。男性に多くみられますが、閉経後の女性も尿酸値が高くなる傾向があるため、注意が必要です。

 初期に現れる症状は、関節炎の発作です。足の親指の付け根の関節が最も多く、次いで足首やひざの関節にくることが多いようです。化のうしたように赤くはれて熱を持ち、痛みが強いのが特徴です。放置すると、関節炎の発作を繰り返すようになり、痛みがない時期にも尿酸が体内にたまり続けて、腎臓障害や脳血管障害、心筋梗塞(こうそく)などを起こすようになります。このため、自覚症状がなくても治療を続ける必要があります。怖い病気のようですが、尿酸値のコントロールができていれば、普通に生活ができます。

 質問によると、あなたは高血圧の薬と痛風の因果関係を心配されています。高血圧の治療薬には数多くの種類があり、確かに尿酸値を上げるものもあります。しかし、何らかの病気そのものが原因で尿酸値が高くなることや、遺伝的に高い人もあります。最近増えているのは、アルコールの飲み過ぎや、食べ過ぎなどの生活習慣が原因となっているケースです。主治医によく相談してみてください。定期的に血液検査をしていれば安心だと思います。

 次に、足の痛みは足自体の異常、すなわち足の皮膚や血管、神経、骨、筋肉、腱(けん)、じん帯、関節などに異常があって痛むこともあります。足の骨や軟骨が変形して起こる場合や、腫瘍(しゅよう)が神経などを圧迫して痛む場合、腱鞘(けんしょう)やじん帯によって、神経や血管あるいは腱が締め付けられて痛むこともあります。

 また、足以外の部位の異常が足に現れることもあります。腰に原因があって足に痛みがくることはよくあることです。腰椎(ようつい)の椎間板ヘルニアや、変形性腰椎症などは、腰から足に伸びる坐骨(ざこつ)神経の痛みを伴うことが多く、足に痛みやまひを生じる疾患の代表格といえるでしょう。外傷以外で足の痛みを訴える患者さんの大半は坐骨神経痛です。足に走るような痛みやしびれを感じますが、足の指だけが痛む場合もあります。

 このように足が痛む原因はいろいろあります。足の形や履物、歩く姿勢などもみてみる必要があるかもしれません。一度、整形外科を受診されることをお勧めします。

徳島新聞2000年4月9日号より転載

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