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【質問】 腹部に圧迫感と引きつるような痛み

 54歳の女性です。3~4カ月前から、肋骨(ろっこつ)が腹部へ食い込むような圧迫感を感じています。特に左側の圧迫感が強く、筋肉や筋が強く引っ張り合うようなというか、引きつるような痛みがあります。肋骨が痛むときは背中も痛み出しますが、横になると少しは楽になります。左側の腹部に何かがたまっているような不快感もあり、気になっています。整形、内科、接骨院、胃腸科を受診しましたが、どこも異常ありませんでした。でも痛みや苦しみは続いています。何か治療法はないのでしょうか。



【答え】 肋間神経痛 -背筋のすき間を調べて-

富本医院 院長 富本 浩明(麻植郡山川町堤外)

 左の肋骨の下側あたりにあるおなかの臓器は脾臓(ひぞう)だけです。脾臓は、通常は握りこぶしの半分くらいの大きさで、古くなった赤血球や白血球を捕まえて壊す働きをしています。

 ところが、白血病や肝臓病になると大きくはれることがあり、左上腹部やわき腹のつかえる感じ、異物感などの自覚症状を訴えることがあります。また脾臓が大きくなると、内部の血の巡りが悪くなって梗塞(こうそく)が起こることがあり、この場合は痛みも伴います。

 また、肋骨と肋間筋などからなる胸壁の内側は胸膜(昔は肋膜と呼ばれた)という薄い膜で内張りされており、肺の表面を覆っている肺側の胸膜と接しています。肺炎などが波及して胸膜に炎症が起こると、その部位に胸痛が起こります。しかし、あなたの場合は内科医にみてもらって異常がないのですから、そのような重大な病気ではないのでしょう。

 おなかや胸の臓器に異常がないとすると、次に胸壁や腹壁に原因があるのではないかと考えてみる必要があります。

 胸壁は左右各12本の肋骨と、隣り合う上下の肋骨をつなぐ内外2枚の肋間筋で成り立っています。内外の肋間筋の間を動脈と静脈、肋間神経が通っています。

 腹壁には骨はなく、おなかの真ん中を上下に走る腹直筋と、わき腹を形作る内、中、外の3枚の筋肉の膜でできています。この膜の間を肋間神経が通っています。この肋間神経を流れる信号によって、肋間筋や腹筋が伸び縮みします。

 また肋間神経は、肋骨の数と同じく左右各12本ありますが、それぞれの神経の分担区域は、その走行経路に沿って体を取り巻く帯のようになっています。

 この肋間神経に何らかの原因で傷がつき、信号が流れなくなると、その神経の分担区域は無感覚になったり、しびれたりします。筋肉もまひします。反対に刺激を受けて異常な信号が発生すると、神経痛が起こったり、筋肉がけいれんしたりするでしょう。いわゆる肋間神経痛です。あなたの症状は肋間神経痛だと思います。

 それでは肋間神経を傷つけた原因は何でしょうか。ヒントが1つあります。それは横になると楽になるということです。人間は立っているときは、頭から足の方向に重力を受けていますが、横になるとこの負担はなくなります。肋間神経の近くにあって重力の影響を強く受ける組織、それは背骨です。

 肋間神経は、せき髄を出たあと背骨の狭いすき間をくぐり抜けて、外に出て肋間腔(こう)を前方に伸びていきます。背骨のすき間が狭くなるような病気、たとえば骨の変形や椎間板(ついかんばん)ヘルニアなどが起これば、神経が押さえられて傷がつきます。

 あなたは背骨のすき間を調べる必要があります。もっともいくら調べても分からないことも多いのですが…。

 とりあえず、痛みや不快感を抑える治療としては、神経の異常な興奮を鎮める薬を飲むということになるでしょう。近くの神経内科の先生に相談なさってください。

徳島新聞2000年4月2日号より転載

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