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【質問】 手首が膨れ、だるさ感じる

 49歳の主婦です。昨春から左手首が膨れ、しこりもあって、気になっていたため、整形外科にかかりました。関節炎ガングリオンと診断され、昨年10月に2cmほど切り、3針縫う手術をしました。しばらく調子が良かったのですが、最近、手術をした辺りが膨れ、時々ひじまでジーンとだるさを感じるときがあります。何か治療法はないでしょうか。



【答え】 ガングリオン -症状あるなら手術で除去-

遠藤整形外科 院長 遠藤 寿男(名西郡石井町石井)

 ガングリオンとは、〈図〉のように、関節を包んでいる関節包という軟らかい組織や、腱(けん)を包んでいる腱鞘(けんしょう)に、アドバルーン状にできる良性のしこりのことです。正式には腫瘤(しゅりゅう)と呼ばれ、内部にはゼラチン状の物質を含んでいます。原因は、はっきりしていませんが、関節包や腱鞘の周囲の組織に何らかの変化が起こり、さらに使い傷みなどの外傷が引き金となって発生するとの考え方が主流になっています。

関節包は、もともと平らで滑らかな組織ですが、ガングリオンができるような関節包には、一部にひだのような部分が存在し、ここに前述のような誘引が加わって発生するともいわれています。ここにできたものは、関節腔(くう)までつながっているものが少なくありません。一方、腱鞘にできるガングリオンは、外傷がきっかけとなっているケースが多いようです。

 ガングリオンは体のあらゆるところに発生しますが、最もできやすいのは手で、特に手首の関節の外側と内側に多くみられます。

 しこりは小豆大から直径2cm程度のものまであります。小さい場合は、ほとんど症状はありませんが、大きくなると圧迫痛や動かすと痛んだり、ときには冷えやだるさなどの不快感を感じたりします。また、腱鞘に発生した場合はゴリゴリした違和感を覚えたり、神経の通り道の近くにできると、神経を圧迫し、痛んだりしびれたりすることもあります。

 自然に治る場合もあるので、症状がなければそのまま経過をみても構いません。しこりの中身のゼラチン状物質を注射器で抜き取る方法もありますが、再発する傾向が強いようです。一般的には手術で摘出します。方法はしこりを付け根から取り除くか、関節包や腱鞘の一部も含めてひと塊として取り除きます。

 あなたの場合は、手関節にできたガングリオンの手術を受け、再発したとのことですが、再発するケースはちょくちょくみられます。先にも述べたように、ガングリオンは関節包のひだの一部分にできることがあるため、手術しても残った隣のひだから再発することもあるのです。

 再発したガングリオンについては、主治医とよく相談して、中身を抜き取るか、再手術をするかよく相談してください。

徳島新聞2000年1月16日号より転載

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