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徳島県小児科医会 日浦恭一

 発疹を示すウイルス疾患の中で水疱が見られるものには単純疱疹(ヘルペス)、水痘・帯状疱疹と手足口病があります。いずれも子どもの感染症として大切な疾患です。



 ヘルペスウイルスには単純ヘルペス1型および2型、水痘・帯状疱疹、サイトメガロウィルス、EBウイルス、ヘルペス6型および7型があります。この中で水疱が見られるのは単純疱疹と水痘・帯状疱疹です。

 単純疱疹は口の周りに水疱を形成するヘルペス1型と陰部に病変を形成するヘルペス2型が区別されます。1型の頻度が高いのですが、子どもの初感染では歯肉炎や口内炎に高熱をともなって重症化することがあります。

 水痘は子どもに多く見られる感染症で大切な疾患です。空気感染するほど伝染力が強い疾患ですから厳重な隔離が必要です。

 一度水痘にかかった人の体力や抵抗力が低下した時に発病するのが帯状疱疹です。帯状疱疹は神経の走行に従って水疱が見られ、神経痛をともなうことがあります。水痘にかからなければ帯状疱疹になることはありません。ワクチンで水痘を予防することが将来の帯状疱疹を予防することにつながります。

 手足口病の原因はエンテロウィルスです。手足口病を起こすウイルス型は何種類かあります。夏に広く流行して多くは軽症ですみますが、中には髄膜炎を起こすことがあります。手足口病に治療法はありません。水痘は早く診断がつけば抗ウィルス剤の使用で治療が可能です。正確な診断が対応の第一歩です。

徳島新聞2011年5月25日掲載

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