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徳島県小児科医会 日浦恭一

 日本で行われている予防接種は外国に比べて定期接種が少なく任意接種が多いのが現状です。外国では多くの国でヒブも小児用肺炎球菌も水痘もおたふくかぜワクチンも定期接種になっています。日本と外国のワクチン行政の差がワクチンギャップです。日本は世界の中でワクチン後進国と言われています。



 日本でワクチン行政の遅れが目立つのにはいくつかの理由があります。昔から日本では病気(感染症)の予防より治療に重点が置かれる傾向がありました。しかし大切なのは病気の予防であり、病気の中にはかかってしまうと治療法のないものも沢山あります。

 また日本人には予防接種の副作用を極端に嫌う性質があります。軽微な症状にも過敏に反応します。

 しかし予防接種は元々異物を生体に接種することで起こる生理的な反応を利用したものですから、多少の差はあってもこの反応をゼロにすることはできません。また体質などの個人差やその時の体調などによってどうしても避けようのない反応が発生する場合があります。

 さらにワクチンによる副反応の結果発生した健康被害に対する国の姿勢にも大きな問題がありました。副反応は一定の割合で発生する可能性があります。もし発生した場合には国が責任を持って被害を救済するという姿勢が明らかであれば、多くの日本人は安心して予防接種を受けることができるものと思われます。副反応を含めて予防接種に対する十分な情報を伝えることが大切です。

徳島新聞2010年11月17日掲載

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