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徳島県小児科医会 日浦恭一

 最近、インフルエンザ菌b型(ヒブ)が細菌性髄膜炎の原因として知られるようになり、予防接種を希望する人が増えています。ヒブと同様に大切な細菌が肺炎球菌です。肺炎球菌も髄膜炎や敗血症など、子どもの重症細菌感染症の原因として大切なものです。今月は肺炎球菌とその予防接種についてお話します。

 この細菌は多くの子どもたちの鼻やのどに存在していて、肺炎や中耳炎、副鼻腔炎などの原因になります。これまでに多くの抗菌剤が使用された結果、肺炎球菌の多くはペニシリンなど多くの抗菌剤に耐性を持っています。

 そのため肺炎球菌による敗血症や菌血症など重症の感染症になると、使用できる抗菌剤が極めて限られてしまいます。このことはヒブによる髄膜炎の治療が極めて困難なことと同様です。

 肺炎球菌が原因となる疾患の頻度は敗血症や菌血症では72%、細菌性髄膜炎で20%、中耳炎で32%、細菌性肺炎では20%と言われます。敗血症や菌血症ではヒブよりもはるかに高い頻度であることが分かります。

 肺炎球菌は重症細菌感染の中では最も重要な細菌のひとつで、ワクチンによる予防が望まれます。ただし日常診療の上では感冒などのウィルス感染には抗菌剤を極力使わないことで抗菌剤に対する耐性ができないようにすることも大切です。

徳島新聞2010年4月14日掲載

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