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徳島県小児科医会 日浦恭一

 食事の基本はおいしいことです。おいしい食物を楽しく食べることで幸せを感じ、心豊かに過ごすことができます。しかし最近は飽食の時代とかグルメブームとか言われる反面、偏食や欠食など食事習慣に問題のある子どもたちが増えています。

 食物をおいしいと感じることは発達現象のひとつです。人の味覚はからだにとって大切な栄養素を取り込むためにエネルギー源になる甘味の成分や脂肪をおいしいと感じます。

 新生児でも甘味を感じ、3~4ヶ月の乳児では塩味も感じることができます。人が生きていく上で必要なエネルギー源になる食物は生まれながらおいしいと感じる味覚が備わっています。

 これに対して苦味や酸味は人にとって毒物や腐敗したものの味として嫌がる傾向があります。しかしこのような苦味や酸味を持つ食物の中にも大切な栄養素がたくさんあります。

 そこで私たちは乳児期から幼児期にかけて多くの食物をくり返して食べることによって、複雑な味の食物をおいしいと感じるようになるのです。

 人は幼児期に味覚が大きく発達すると言われます。この時期に多くの食物に出会い、おいしいと感じることが将来の味覚形成や食事習慣の確立に役立つのです。子どもの時の食事はその人の味覚や食事習慣を一生左右するかも知れない大切なものなのです。

徳島新聞2010年3月24日掲載

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