徳島県医師会 トップページへ

  • 文字サイズ標準
  • 文字サイズ拡大
文字サイズ変更について
県民の皆さまへ

 百日咳の特徴は痙咳(けいがい)と呼ばれる激しいせきです。症状の軽いカタル期に続いて発作的な激しいせきが2~3週間続くのです。このせきについてもう少し詳しくお話します。

 百日咳にかかって1~2週間すると、特徴的な激しいせきの発作が見られるようになります。このせきは、息を吸い込む間もなく「コンコンコン」とたて続けにせき込みます。その後で急に息を吸い込みますからのどの奥で「ヒュー」という笛を吹くような音が聞こえます。このようなせき込みの発作を何回もくり返します。

 激しいせきが起こると顔を真っ赤にしてせき込みます。首の静脈が膨れて、顔が腫れたり顔の皮下に点状出血が見られたりします。結膜の出血や鼻出血なども見られることがあります。嘔吐(おうと)をともなうことも多くなります。

 激しいせきは夜間や食事中に多く見られますから睡眠障害や疲労、脱水、栄養不良などで衰弱します。

 また6カ月未満の乳児が百日咳になると、呼吸の力が弱いのでせき込んだ後の息を吸い込むときの「ヒュー」という音が聞こえないことがあります。無呼吸やチアノーゼ、嘔吐などが主症状になることがあります。

 さらに2カ月未満の乳児では無呼吸、肺炎、低酸素によるけいれんや脳症などの合併症が見られ、死亡することもあります。

 百日咳の治療にはマクロライド系やペニシリン系抗菌薬が有効ですが、抗菌薬が有効なのはカタル期までです。激しいせきが見られる痙咳期になってからでは抗菌薬を投与しても有効ではありません。ただ百日咳菌を体内から排除するためには抗菌薬を使用します。

 さらに保育所などの集団や家族内に百日咳が発生した場合には予防的な抗菌薬の投与が必要です。この場合にはワクチン接種の有無にかかわらず抗菌薬を投与します。

2008年3月19日掲載

© TOKUSHIMA MEDICAL ASSOCIATION.