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 激しいせきが長く続く病気の代表が百日咳です。最近では百日咳も予防接種が普及したために診察する機会は随分減りました。しかしワクチンを受けていない乳児や成人の百日咳が発生しています。今月は問題の多い百日咳についてお話します。

 百日咳の原因は百日咳菌です。この細菌は飛沫(ひまつ)感染で伝染し、大変感染力の強い細菌です。百日咳菌はさまざまな毒素を持っていて、この毒素によって百日咳特有の症状がひき起こされます。また母体からの免疫が1~2月で消失するために乳児期早期でも百日咳にかかることがあります。

 百日咳の潜伏期間は7日から10日です。百日咳菌が気道に侵入して感染が成立すると、細菌本体から数種類の百日咳の毒素が産生されて放出されます。これらの毒素によって百日咳特有のせきがあらわれます。

 百日咳はその発現時期によってカタル期、痙咳(けいがい)期、回復期の3つに分けられます。

 カタル期に見られる症状は鼻みず、くしゃみ、せき、涙、結膜充血など普通のかぜ症状と差はありません。熱はほとんど出ません。この時期は1~2週間です。症状が軽いためにほとんどが上気道炎(かぜ)として見過ごされています。家族内に百日咳の患者さんがいるなど、百日咳を疑う状況がなければ正しい診断をつけるのは難しい時期です。

 痙咳期には百日咳特有の激しいせきが見られます。この時期は2~3週間続きます。激しいせきは夜間や食事中に強くなるために睡眠障害や栄養障害を起こします。さらに乳児期早期には激しいせきよりも無呼吸やチアノーゼが見られることがあります。

 回復期は百日咳菌が消失して気管支粘膜が修復される時期です。特有のせきは減少しますが時々見られます。

 百日咳は症状が1カ月以上続きます。乳児がかかると大変ですから予防が大切な病気です。

2008年3月12日掲載

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