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 単純性熱性けいれんは放置しても差支えがないことをお話ししてきました。しかし初めてのけいれんの場合に2回目以降の発作が起こるかどうかを予測することはなかなか難しいことです。さらに家族の不安を考えると単純性熱性けいれんに対しても予防処置を行う傾向があります。

 熱性けいれんの予防には、ジアゼパムの座薬を使用するのが一般的です。発熱の初期にこの座薬を使用すると熱が高くなってもけいれん発作を予防できます。高熱が続く場合には8時間後に2回目の座薬を使用します。2回使用することでジアゼパムは3~4日間、有効血中濃度が維持されますからその後のけいれんが予防されるわけです。

 このようなけいれん予防の処置を発熱の度に、熱性けいれんが起こらなくなるまで続けるわけです。熱性けいれんは1歳から3歳ころに多く見られますが、5歳を過ぎるとほとんど見られなくなります。予防的なジアゼパム座薬は数年間使用することになります。

 ただし基礎疾患を有する子どもや慢性的にけいれんを反復するてんかんを持つ子どもに対して熱性けいれんを予防したからと言って基礎疾患やてんかんが治るわけではありません。複合型熱性けいれんは基礎疾患の検索や基礎疾患に対する治療が優先されます。

 単純性熱性けいれんであれば放置しても自然に治るわけですから、基本的にはジアゼパム座薬の使用は必要ないわけです。

 しかし初回の熱性けいれんで単純性熱性けいれんであるかどうかを判断することはとても難しいので、比較的簡単にジアゼパム座薬の投与が行われています。

 けいれん発作が単純性熱性けいれんであると考えられる場合には、発熱時の子どもの状態を十分に見極めて使用することも必要です。

 いつまでジアゼパムの投与を続ける必要があるのか判断するのもとても難しい問題です。

2007年6月27日掲載

© TOKUSHIMA MEDICAL ASSOCIATION.