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 夏に多くみられる高熱を特徴とする咽頭(いんとう)炎や扁桃(へんとう)炎を夏かぜと呼びます。夏かぜの中にはプール熱(咽頭結膜熱)やヘルパンギーナがあります。プール熱はアデノウイルスを、ヘルパンギーナはエンテロウィルスを原因とするウイルス疾患です。

 夏季には夏かぜのようなウイルス疾患に混じって溶連菌感染症も流行しますから、発熱を主な症状とした咽頭炎や扁桃炎の患者さんを診た場合にはそれが細菌性なのかウイルス性なのかを区別することが大切です。

 ウイルス感染症による咽頭炎や扁桃炎は多くの場合、2~3日で熱は下がります。したがってほとんどの場合には薬物療法の必要はありません。しかしインフルエンザやアデノウイルス感染症では発熱が3日以上続くことがまれではありません。またアデノウイルスは伝染力が強いことにも注意すべきです。

 アデノウイルス感染症としてはプール熱が代表的ですが、他にも多くの疾患が知られています。流行性角結膜炎や嘔吐(おうと)下痢症、出血性ぼうこう炎などもアデノウイルス感染症です。

 また扁桃炎を主症状とするアデノウイルス感染症は普通、高熱が4~5日持続しますから、細菌性の扁桃炎と区別することが大切です。

 アデノウイルスの検出には迅速診断キットを使用します。血液検査による白血球数や炎症反応のみでは細菌感染との区別はできないためです。

 アデノウイルスによる扁桃炎には抗生剤は効きません。細菌性の扁桃炎との区別をせずに漫然と抗生剤を投与すると効果がないだけでなく、抗生剤による副作用や抗生剤に対する耐性を有する細菌が増えて大きな影響を及ぼすことになります。

 またアデノウイルスは伝染力が強いので保育園などの集団生活では、うがいや手洗いなど予防の徹底につとめることが大切です。

2007年7月11日掲載

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