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 発熱を特徴とする咽頭(いんとう)炎や扁桃(へんとう)炎の原因の中でもっとも多いのはウイルス感染症で80~90%を占めるといわれます。残りは細菌性の咽頭炎や扁桃炎ですが、その原因細菌はほとんどが連鎖球菌(溶連菌)であるといわれます。

 溶連菌は感染すると多くは咽頭・扁桃および皮膚の化膿(かのう)性の病変を形成します。

 この細菌は直接接触や経口摂取、気道分泌物の飛沫で伝染します。細菌が侵入してから化膿性病変を起こすまでの潜伏期間は上気道で2~5日、皮膚では7~10日とされます。

 溶連菌による咽頭炎・扁桃炎では突然39℃前後の発熱と咽頭痛、頭痛、腹痛で発病します。その後、咽頭は真っ赤になり腫れ上がります。扁桃も赤く腫れて黄色の分泌物が付着します。舌は乳頭が腫れて赤くなりイチゴ舌と呼ばれる状態になります。普通、せきや結膜症状はみられません。

 発熱後12~24時間して首やわき、またの部分などから小さなざらざらした発疹(はっしん)が出現します。この発疹は急速に広がり全身が真っ赤になります。この状態を猩紅熱(しょうこうねつ)と呼びます。発疹出現後7日くらいで発疹部分の皮がむけて白く粉をふいたようになったり、指の先から膜状に皮がむけたりします。

 溶連菌は咽頭炎・扁桃炎だけでなく皮膚の感染症もひき起こします。外傷や熱傷、水痘、湿疹などがあると、そこから侵入した溶連菌によってとびひなどの皮膚感染症を起こすことがあります。

 溶連菌感染症の治療目的は単に咽頭炎や皮膚炎を治すことだけではありません。溶連菌感染の急性期を過ぎて後に発病するリウマチ熱や急性腎炎などの続発症の発生を予防することが大きな目的なのです。

 溶連菌感染症に対する治療薬はペニシリン系の抗生剤で、10日間から2週間の服薬が必要とされます。ペニシリンがすすめられるのは、広範囲に作用する他の抗生剤では薬剤に対する耐性菌の増加が問題になるからです。

2007年7月18日掲載

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