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 子どもの睡眠の乱れが問題になっています。睡眠が乱れると、睡眠とともに変動するいろいろな体内の生理現象にも変化が起こります。どのような変化が起こるのかその問題点について考えてみました。

 人の生理機能は睡眠だけが単独に働いている訳ではありません。睡眠と覚醒の変化にともなって、多くの生理機能や内分泌機能が一定の関係を保って変動しています。とくに睡眠と関係深いホルモンには成長ホルモン(GH)、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、コーチゾルなどがあります。これらのホルモンは脳の視床下部から刺激を受け、脳下垂体から分泌されます。

 GHは入眠直後の深い睡眠で多く分泌されます。昔から「寝る子は育つ」と言われます。寝つきの良い子どもは入眠直後に深い睡眠に陥りますからそれだけGHの分泌も増加します。したがってGH分泌が増加することによって成長も良くなるという意味です。

 反対に寝つきが悪く、眠りの浅い子どもはGHの分泌が十分ではないので成長に影響が出てきます。睡眠が障害されるような慢性疾患があると成長も障害を受けます。熱や痛み、咳などが夜間に何度も起こると睡眠は障害されます。このような症状が慢性的に見られる時にはその原因疾患を治療し症状をコントロールすることで、睡眠障害を取り除くことができます。

 ACTHやコーチゾルは人の活動に密接な関係を有するホルモンです。夜明け前に分泌が増加することによって覚醒後の活動の準備が整うものです。これらのホルモンの分泌が十分でなければ覚醒後の活動が十分にできなくなると思われます。

 私たちが社会に適応して活発に生活するためにはさまざまなホルモンが必要です。これらのホルモンが適切に分泌されるには良い睡眠をとることが必要です。さらに良い睡眠は、睡眠直前の活動状態に左右されます。

 昼間にしっかり運動をして太陽の光を浴びることで夜間の睡眠に入りやすくなり、さらにこのことが体内の内部環境を整えるのに大切なホルモン分泌を良くすることにつながるのです。

2006年9月19日掲載

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