徳島県医師会 トップページへ

  • 文字サイズ標準
  • 文字サイズ拡大
文字サイズ変更について
県民の皆さまへ

 今月は発熱についてお話しています。

 子どもは軽いかぜでも簡単に高熱が出ますから、熱の高さだけで病気の重症度を決めることはできません。ただし3ヵ月未満の乳児の発熱やそれ以上の子どもでも熱が非常に高い場合には注意が必要です。

 子どもの発熱原因の多くはウイルス感染症によるものです。この中で最も多いのが呼吸器症状を示す普通感冒(上気道炎・気管支炎)、嘔吐(おうと)や下痢を示すウイルス性胃腸炎(嘔吐下痢症)、発疹(はっしん)を示すものの代表が麻疹(ましん)、風疹(ふうしん)、水痘、手足口病、突発性発疹症などです。その他、夏かぜとしてヘルパンギーナやプール熱がよく見られます。

 生後3ヵ月までの乳児は抵抗力がないためあまり熱が出ることはありません。この時期の発熱には重症の感染症が隠れていることがありますから、施設によっては全例入院の上で原因検索を行うことがあります。尿路感染症、肺炎、敗血症、化膿(かのう)性髄膜炎などを鑑別することが大切です。

 また生後3ヵ月から3歳までの乳幼児の原因不明の高熱にはとくに注意が必要です。39.5度以上の発熱で、診察所見から原因が特定できない場合には血液検査(白血球や炎症反応)を行います。その結果、白血球数が著明に上昇している場合に一定の割合で重症の細菌感染症が隠れているとされます。重症細菌感染症の中には化膿性髄膜炎、急性喉頭蓋(こうとうがい)炎、化膿性関節炎、骨髄炎などの他に潜在性の菌血症などがあり、いずれも早期に判断して重症化を防ぐ必要があります。

 私たち小児科医が発熱した子どもを見たときには問診と診察所見からおおよその判断の見当をつけ、不明な部分には検査し、できるだけ正確な診断をつけて治療を行います。

 しかし検査上も異常が見つからないけれど「何かおかしい」と感じることがあります。医者だけでなく両親がこのような感じを訴えることもあります。このような場合には放置せずに厳重な経過観察の下に置きます。場合によっては入院して経過観察することもあります。反復して診察、検査をすると経過とともに重篤な疾患が明らかとなることがあるからです。

2006年2月21日掲載

© TOKUSHIMA MEDICAL ASSOCIATION.