徳島県医師会 トップページへ

  • 文字サイズ標準
  • 文字サイズ拡大
文字サイズ変更について
県民の皆さまへ

 育児不安には毎日3回の食事をうまく作れない、あかちゃんが食べてくれない、無理やり食べさせると吐く、言うことをきかない、周りに相談する人がいない、心配事を育児書で調べるが、自分の子どもにあてはまるような記載がない、などがあります。

 このような育児不安をかかえる人が増えていると言われます。母親がひとりで悩んだあげく虐待につながるような行動に走ることもあり、社会的な問題になっています。

 育児不安の要因には大家族が少なくなって核家族化が進行したこと、都市化したため地域社会での連帯感が薄くなってきたことなどから、母親が家庭内や社会的に孤立していることが指摘されています。父親は仕事が忙しくて不在がちであり、子育てについての協力が得られにくいこと、近所に同じくらいの年齢の子どもを持つ話し相手や頼りになる相談相手がいないこと、夜泣きがひどい子どもや食事を十分に食べてくれない子であったり、病気がちの子であったり、いわゆる育てにくい子どもの場合などに、孤立した母親は不安になり次第に育児が重荷になります。

 最近の母親世代では兄弟が少なく、年齢の離れた家族、とくに小さな子どもと接触する機会が少なくなっています。自分が出産するまであかちゃんを抱いた経験がない人もあります。

 さらに育児は食事・排泄(はいせつ)・入浴・睡眠といった毎日、同じことのくり返しです。社会に出て仕事をしていたときの生活と比べるとまったく単調な生活になります。しかもあかちゃんは自分の思った通りにはなってくれません。出産後に手助けしてくれていた母親や姑(しゅうと)さんがいなくなると、なんでも自分ひとりで解決していかなければなりません。

 育児不安をかかえた母親に育てられたあかちゃんも毎日の生活を十分に満足して送っているとは考えられません。養育者である母親の育児不安を解消することが、あかちゃんの生理的・情緒的安定を得るのに最適なことであると言えます。

 そこで母親をサポートするシステムが必要とされるのです。ひとりで問題を抱え込まずになんでも相談できる人や施設が求められるのです。妊娠中から育児の基本となる発達や生理的な機能について専門的な知識を持つ小児科医と連携を取っておくのもひとつの手だてです。

2005年12月27日掲載

© TOKUSHIMA MEDICAL ASSOCIATION.