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 育児には乳幼児の生命を保持し、危険から守り、子どもを健やかに育て、社会に適応するために必要な生活習慣をつけるという意味があります。

 母乳や離乳食を与えること、着替えやオムツ替え、入浴をさせ、寝かしつけることなどの行為が育児です。子どもと毎日かかわり合いながら、このような育児行動がくり返されます。これが子どもにとって生活習慣を身につけることになります。

 また、子どもが養育者の生活様式を模倣することによっても生活習慣を獲得していきます。

 食事、排泄(はいせつ)、運動、学習、仕事、休息、睡眠などの毎日くり返して行われる行為を、意識して努力することなく、自然な行為として行うことができることが生活習慣です。その中には、うがいや手洗いなど衛生上の必要な行為から、あいさつなどの社会的マナーを身につけて、社会生活に適応する上で必要な行動まで含まれます。

 このような育児行動を毎日続けるには、養育者が子どもに対して愛情を持っていなければ行うことはできません。養育者の愛情につつまれて行われる育児に対して、子どもは無理なく生活習慣を確立することができるのです。育児に求められるのは、子どもの生理的な欲求を満たすことだけでなく、情緒的な欲求をも満たすことです。

 毎日の育児を通して得られた子どもの信頼は、その後の育児を通して行われるしつけの時にも生かされるものです。両親の愛情につつまれて行われた育児によって、心地よい経験を積み重ねることが望ましい生活習慣を形成するのに役立ちます。

 最近、増加傾向にある成人のがん・心臓病・脳血管障害・高血圧・糖尿病などの疾患が、食事や運動などの生活習慣と密接に関係していることは明らかです。このような疾患群に対して生活習慣病の疾患概念が導入されました。乳幼児期に身についた食事や運動、睡眠などの生活習慣が多くの疾患を引き起こしているのです。

 子どもが養育者の生活習慣を模倣することで獲得する生活習慣もあります。養育者は子どもの模範となるような生活習慣を身につけることが大切です。

2005年12月20日掲載

© TOKUSHIMA MEDICAL ASSOCIATION.