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 百日咳は新生児や乳児がかかると大変に怖い病気です。それは母親からの免疫が期待できず新生児でもかかる可能性があること、かかると激しい咳ばかりでなく無呼吸やけいれんなどによって中枢神経系に重い後遺症を来たす場合があるためです。さらに激しい咳などの典型的な百日咳の症状が明らかになってからでは抗生剤による治療効果が期待できません。つまり百日咳はかかってから治療する病気ではなく、出来るだけ早い時期にワクチンで予防することが大切な病気です。

 日本の予防接種法では生後3ヵ月になれば三種混合ワクチンとして百日咳ワクチンを接種することが可能とされています。しかし実際にはポリオやBCGなど他のワクチンのスケジュールの関係で、百日咳ワクチンが早期に実施出来ていない場合が多く見られます。平成6年に現行の予防接種法が施行されるまで百日咳を含む三種混合ワクチンは集団接種で2歳以降に行われていました。これでは百日咳にかかって最も困る乳児期早期の予防が出来ていなかった訳です。現在の予防接種法になって、3ヵ月を過ぎればワクチンが出来るようになって乳児の百日咳患者は減少しています。しかし市町村によってはまだ、集団接種であったり個別接種でも時期が遅かったり、すべての子どもが同じように早期の百日咳ワクチン接種の機会を与えられている訳ではありません。

 現行の予防接種法の趣旨は個別接種です。ワクチンの個別接種というのは、子どもの体調に合わせていつでも、都合のいい時に接種できるということです。そして、子どもの体質や今までにかかった病気などを最もよく知っているかかりつけの医者が行うことが理想とされます。現在の法律が出来た時には、規模の小さな市町村や財政的な準備が出来ていない所では、集団接種でもかまわないとされましたが、実施から10年の間にそれぞれの市町村は個別接種に向けて努力がなされてきたでしょうか。もし1つの市町村で個別接種が出来なければ近隣の市町村で接種できる体制を整えるべきでしょう。さらに徳島県内全域で同じようにワクチンが接種できるシステムを作ることが急がれています。

2003年9月23日掲載

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