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 百日咳は激しい咳を特徴とする乳幼児の病気です。百日咳の典型的な症状はレプリーゼと呼ばれる特有の激しい咳です。年長児や成人が百日咳にかかった時には長引く咳で治療に困難をともなうことはありますが重症化することはありません。しかし、2~3ヵ月未満の乳児がかかると、肺炎、中耳炎、けいれん、脳症などを合併することがあり、死亡することさえあると言われます。

 百日咳は患者の気道分泌物に含まれる百日咳菌が飛沫し鼻咽頭、気管、気管支、細気管支などの呼吸器系に感染することで発病します。百日咳は感染してから約7日~10日間の潜伏期間をおいて発病します。最初の症状は鼻水やくしゃみ、涙などの鼻かぜ症状で、カタル期と呼ばれます。咳は軽度で熱は出ても微熱です。この時期にもっとも感染力が強い とされます。この時期が1~2週間続き、次いで痙咳期(けいがいき)に移ります。咳で飛沫した百日咳菌は気道粘膜で増殖しそこで種々の毒素を産生し、これが百日咳特有の激しい咳を起こさせます。「コンコンコン」という乾いた短い咳が連続して激しく出た後に一気に息を吸い込む時に「ヒュー」という音が聞こえます。このような咳が発作的に繰り返す状態をレプリーゼと言います。連続して咳が出る間は息を吸い込む間もありません。このような咳発作はわずかな音、光、体の動き、哺乳などで誘発されます。顔面のむくみや紅潮、頚静脈の怒張、点状出血などが見られます。咳発作は夜間や食事中に多くなるので不眠、嘔吐、栄養不良となり入院加療が必要となることがあります。また典型的なレプリーゼを認めず無呼吸やチアノーゼが症状の中心になることもあります。

 痙咳期は2~3週間持続して回復期に向かいます。咳発作の回数が徐々に減少して快方に向かいます。回復期は1~2週間で終わりますが、その後も冷たい空気や運動時に咳が出やすい状態が残ります。百日咳にかかると回復までに1ヵ月以上が必要となります。

 百日咳の治療には抗生剤を使用しますが、薬が有効なのは潜伏期からカタル期までで、痙咳期になると抗生剤の効果は望めません。予防には百日咳ワクチンが最も重要で、出来るだけ早期のワクチン接種が望まれます。

2003年9月17日掲載

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