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 思春期に至ると子どもが頭痛や腹痛などの症状を訴えることが多くなります。この時期には身長が急に伸びて、肉体の発達に神経の発達が追いつかない状態になり、その結果として様々な症状が見られるようになります。特に急に立ち上がった時に目の前が真っ暗になり、意識が無くなり、倒れてしまうようなことが起こるようになります。このような状態を起立性調節障害と言います。夏の暑い時期には身体がだるくてついつい夜更かしから生活も乱れやすく、起立性調節障害が発症しやすいと考えられます。

 急に立ち上がった時に一瞬意識が遠のき、目の前が真っ暗になることがあります。ひどくなると倒れてしまうこともあります。これが立ちくらみで、脳貧血と呼ばれる状態です。普通、立ち上がる時には自律神経の働きによって、下半身の血管が収縮して、上半身の循環血液量は保たれ、このような現象が起こることはありません。子どもが急に身長が伸び始めた時に、血管の収縮を支配する自律神経の発達が不十分な時に発生すると考えられます。従って、思春期だけでなく、身長が高く顔色が悪い痩せ型の子どもに多く見られると言われます。さらに普段からよく頭が痛いとかお腹が痛いだとかの訴えの多い子や、夜更かしで朝寝坊、朝食を抜く子などに多く見られ、さらに少し動いただけで心臓がドキドキし、熱い風呂に入るとのぼせやすく、車に酔いやすいなどの特徴を持っています。

 起立性調節障害の子どもたちは自分のペースで生活をしている限り何の問題もありませんが、夏休みが終わって2学期が始まった時に、自分の身体と学校生活の間に時差が生じると、学校生活が苦痛に満ちたものになります。立ちくらみや頭痛などがあまりひどいような場合には薬物療法を行うことも必要です。しかし元々は自律神経の発達途中に起こってきた一過性の症状であり、必ず治るものであることを知って、規則正しい生活を心がけることが大切です。

2002年8月20日掲載

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