徳島県医師会 トップページへ

  • 文字サイズ標準
  • 文字サイズ拡大
文字サイズ変更について
県民の皆さまへ

 最近、硬いものを噛んで食べることの出来ない子どもが増えているようです。食物を噛まずに食べる子どもや、軟らかいものばかり欲しがる子どもなどが多く、固い物や繊維質の多い食物をしっかり噛んで食べる習慣づけが出来ていないように思われます。この原因のひとつに離乳食がうまく進まなかったと思われるケースがあります。母乳やミルクだけを飲んでいる乳児が、自分の歯で固形物を噛んで普通食を食べるようになるまでの過渡期の食事が離乳食です。離乳食の開始は生後5ヵ月頃で、生後1歳過ぎに普通食となり離乳食が完了します。新生時期から乳児期早期にはほとんど母乳(ミルク)だけで栄養を摂っていますが、5ヵ月頃になると出産前に母体からもらってきた鉄分などの栄養素が使い果たされて、ほとんどの乳児は貧血状態となります。ミルクは水に溶けた栄養であり消化・吸収はいいのですが、固形物に比べて栄養をたくさん摂るのには効率がよくありません。従って、身体が大きくなって必要な栄養量が多くなるのに、うまく離乳が進まなければ栄養不足に陥ってしまいます。

 離乳食にはドロドロから始めて、だんだん硬くなり、最終的には固形物になります。最初は少量から始めて、乳児が嫌がれば無理強いせず、2~3日かけてゆっくり増やしていきます。乳児が嫌がっているのに無理やり口の中へ食物を入れると、スプーンを見ただけでも拒否反応を示すようになります。反対に喜んで食べるからといって最初から大量に食物を口に入れてやると、ろくに噛まずに飲み込むようになります。軟らかい食物はもちろん、硬いものでも噛まずに飲み込む癖がつくと、その後に噛む習慣をつけるのが大変です。物を食べる時には、ゆっくり噛む習慣をつけることが大切です。よく噛むことによって満腹感がえられ、必要な栄養を無駄なく摂取できるようになります。食事は離乳食の時期から出来るだけよく噛んでゆっくり食べる習慣をつけたいものです。

2002年7月9日掲載

© TOKUSHIMA MEDICAL ASSOCIATION.