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 風疹は最近あまり流行が見られなくなりましたが、以前はほぼ8年ごとに流行が見られていました。妊娠初期に風疹にかかると、先天性風疹症候群という奇形児が生まれる原因になります。風疹ワクチンの普及で風疹の流行があまり見られなくなりましたが、最近はワクチンの接種率が低下していることから、いつ風疹の大流行が起こってもおかしくない状態になっていると考えられます。風疹の症状自体は比較的軽いものですが、様々な合併症が見られることと、妊婦がかかった場合、その妊娠の時期によって先天性風疹症候群出生の可能性があるので軽視してはいけません。

 風疹の発疹は麻疹の発疹に似ていますが、麻疹のように先行する発熱や咳・鼻汁などの風邪症状はなく、発熱と同時に発疹が出現して3日ほどで消退します。特徴としては頚部のリンパ節の腫脹が見られます。風疹の合併症として、脳炎、関節炎、紫斑病などがあげられます。風疹脳炎を経験したことがありますが、この時のけいれん重積はほとんどの薬剤に反応しなかったように思われます。しかしけいれんが治まった後の経過は良好で後遺症を残すことはありませんでした。一般に風疹脳炎は予後良好な疾患とされています。

 風疹の非流行時に発疹だけを見て診断をつけるのと様々な発疹性疾患が紛れ込んでくる恐れがあります。麻疹、突発性発疹症、エンテロウイルスなどに伴う発疹は紛らわしいものです。

 妊娠中に風疹にかかると胎内で胎児がウイルスに侵されると、重症の場合には胎内で死亡して流産の原因となります。内臓の原器が出来る時期に傷害されると奇形の原因になります。妊娠の時期によって奇形の種類や重傷度が変わってきます。脳神経系、心血管系、視聴覚系などの奇形がよく知られています。

 風疹ワクチンは病気になじみがないためについつい忘れがちですが、そのために風疹が流行するようなことになってはなりません。

2002年5月21日掲載

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