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県民の皆さまへ

 分娩前に妊婦さんが小児科医と接触する機会はあまりありません。母親教室で新生児や乳児の育児について指導にあたるのは産科医や助産婦、栄養士が多く、実際に子供によく見られる症状や状態についての説明や、急病時の病院の掛かり方、予防接種・乳児健診の受け方などについて、出産前に小児科医から直接指導を受ける機会はほとんどありません。反対に新聞・雑誌、テレビやインターネットなどを通して病気や子育てに関する情報は有り余るほどはんらんしています。我々小児科医でも、その情報がどこから出てきたのか判断に迷うことがあります。また、10年、20年前に薦められてきた育児法に問題があるとされることもあります。一時薦められていたうつ伏せ寝についても、以前はぐっすり寝てくれる、頭の形が良くなるほどと推奨されていましたが、最近では乳児突然死の危険性が高くなるとされ避けるように指導されています。母乳についても母親の食事内容によっては食物アレルギーの原因になる場合もあり、それぞれの個人の体質や家庭の事情、家庭環境を十分に考えて個別に指導する必要があります。

厚生労働省の小子化対策のひとつであるプレネタイルビジットは徳島市のモデル事業として10月1日から来年3月31日まで行われています。出産を控えて育児に対して不安を抱えている妊婦さんと小児科医が接触する機会を作り、、妊婦さんの分娩後の不安を少しでも軽くしようとする試みです。分娩を控えた人の不安はその人によってさまざまです。夫や姑、上の子供など家族のこと、出産後の家庭や仕事のこと、急病の対応、母乳や食物のことなど次々不安になることがあります。育児に対する不安感や負担感が妊婦さんのストレスになって虐待などにつながっては大変です。徳島市のこのモデル事業が軌道に乗って、やがては徳島市以外の地域でも、いつでも利用できるシステムに発展してくれることを願ってやみません。

2001年12月掲載

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