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【質問】 字や線がゆがんで見える

 68歳の女性です。若いころから強度の近視と乱視があります。昨年9月ごろに線がゆがんで見えたり、字が黒く見えたりして視力が低下しました。眼科を受診したら加齢黄班(おうはん)変性と診断されました。蛍光眼底検査を受けた結果、近視からきているといわれ、薬を飲みながら定期的に通院していますが、改善しません。何かよい治療法はないのでしょうか。



【答え】 新生血管黄斑症 -特効薬なし 定期的受診を-

徳島逓信病院 村尾 史子(徳島市伊賀町3丁目)

 字や線がゆがんで見えたり、見ようとするものの中心が暗くて見えにくかったりといった症状がある場合、新生血管黄斑症など黄斑部の病気が疑われます。 

 眼球の内側の壁には、カメラのフィルムの役目にあたる網膜(もうまく)があります。黄斑部とは網膜の中央部の直径五、六ミリの領域を指し、ものを見る上で最も重要な働きをしています。黄斑部の障害が進行すると、周囲の景色などはぼんやりと見えますが、中心が見えづらくなり、文字を書いたり読んだりすることが困難になります。

 新生血管黄斑症は黄斑部の病気の一つで、加齢黄斑変性、強度近視による黄斑症などを含みます。質問の方は加齢性、近視性の両方の要因を持つ新生血管黄斑症と考えられます。網膜の下の脈絡膜から異常な血管(新生血管)が伸び、網膜下出血、網膜萎縮(いしゅく)などを引き起こし、視力が低下する病気です。難治性の疾患ですが、進行の度合いには個人差があります。

 診断は眼底検査や、ひじの静脈から造影剤を注射して眼底血管を撮影する蛍光眼底造影検査などで行います。

 加齢黄斑変性は欧米に多い病気でしたが、近年日本でも増加傾向にあります。高齢者に多いため病名に「加齢」とついていますが、はっきりとした原因は解明されていません。特に喫煙者や男性に多い傾向があります。

 近視が強い場合、さまざまな眼疾患が発症するリスクがありますが、新生血管黄斑症もその一つです。強度近視の眼球は解剖学的に奥行きが長く、網膜を含め眼球後部が伸びて弱くなっているのが原因とされています。加齢黄斑変性とは異なり、若年者にも発症することがあります。

 質問の治療法についてですが、残念ながら特効薬はありません。主に出血を抑える薬剤、ステロイドという抗炎症、抗新生血管作用を持つ薬剤の内服、注射、抗酸化ビタミン、ミネラルを含むサプリメントの内服などを行います。

 病気の種類により、特殊なレーザーと薬剤との化学反応を利用して新生血管を閉塞(へいそく)させる光線力学療法を採用する場合もあります。また、眼球への注射によって新生血管の発生を抑制する新しい薬剤の使用が正式に認可される動きがあり、近い将来、治療の選択肢が広がると期待されます。

 日常生活の注意点としては、網膜へのダメージを与える紫外線を避けるため、外出時には帽子、紫外線カットの効果のあるサングラスを使用するようにしてください。喫煙されている方には禁煙をお勧めします。また、ホウレンソウなど緑の濃い野菜には、目の健康維持に必要な抗酸化ビタミンが豊富に含まれていますので、積極的に摂取されるとよいでしょう。

 新生血管黄斑症の病態はタイプ、進行度によりさまざまです。状態に合わせて治療方針を決める必要がありますので、専門医への定期的な受診をお勧めします。

徳島新聞2008年5月4日号より転載

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