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 インフルエンザは高熱をともなう冬のかぜの代表です。体力や抵抗力のない子どもにとって大変つらい病気です。

 しかし最近登場した抗ウイルス剤はインフルエンザの治療を大きく変化させました。発病後48時間以内に診断をつけて抗ウイルス剤を投与すると速やかに解熱し、肺炎などの合併症も少なくなることが知られます。

 ところが抗ウイルス剤の投与を受けた人の中から異常行動を示す例が報告されるようになったのです。走り出すとか、窓から飛び降りることによって、生命を失う人が出てきました。

 その結果を重視した厚生労働省は10歳代のインフルエンザに抗ウイルス剤タミフルの投与を原則禁止としたのです。

 インフルエンザはもともと高熱をともなう疾患ですから熱性けいれんや熱せん妄と呼ばれる異常行動をともなうことが知られています。異常行動には突然走り出すとか、飛び降りるなどの予測できない行動で誰かが制止しなければ生命に危険が及ぶものから、会話が突然通じなくなる、おびえる、無いはずのものが見える、無意味な動作をくり返すなど、その行動自体では直ちに生命に危険は及ばないものの普段は見られない異常行動まであります。

 異常行動は神経疾患の存在や薬剤の神経系への影響を疑わせるもので、とくに意識障害をともなう場合やけいれん重積症をともなう場合にはインフルエンザ脳症との区別をすることが大切です。

 10歳代の患者さんにタミフルの使用ができなくなった今シーズンのインフルエンザの治療には多くの医師が困惑しています。今後の治療としては、他の抗ウイルス剤や漢方薬などの使用が考えられます。

 しかしインフルエンザそのものに異常行動が見られるので、他の薬剤を多く使用すればタミフルと同様の異常行動が見られることが予想されます。

 インフルエンザにかかった場合には治療の有無にかかわらず2日間くらいは子どもから目を離さないようにすることが大切です。

2008年1月16日掲載

© TOKUSHIMA MEDICAL ASSOCIATION.