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 嘔吐(おうと)や下痢を示す感染性胃腸炎はよくみられる病気ですが、その原因の多くはウイルスです。原因ウイルスとしてロタウイルスやノロウイルスが有名です。

 昔に比べると細菌性胃腸炎の頻度は減少していますが、その重要性が少なくなったわけではありません。最近では感染経路や全身症状など、むしろ重要な意味を持つものが増加していると考えられます。

 今月は細菌性胃腸炎の原因で多いカンピロバクター、サルモネラ、病原性大腸菌についてお話したいと思います。

 細菌性胃腸炎の原因菌の中でもっとも多いものはカンピロバクターによるものです。カンピロバクターによる胃腸炎の主な症状は下痢ですが、なかでも血便の頻度が高いことが特徴です。またこの菌は腸炎以外にも髄膜炎や敗血症などの全身感染症を起こすことがあります。

 カンピロバクターはもともと人と動物の共通の感染症で、家畜動物や鳥の腸管内に存在する細菌です。ブタ、ウシ、ヒツジ、ニワトリ、ペット、野生動物、野鳥などの腸管に存在します。

 人はこれに汚染された水、生乳、食肉などを摂取して経口感染します。ペットに直接、接触してうつることもあります。原因食品のなかでは鶏肉が重要です。ニワトリの保菌率は50~80%であると言われます。市販の鶏肉でも内臓や皮膚はカンピロバクターに汚染されていることがありますから、生食には注意が必要です。

 またこれらの動物の排泄物で汚染された水を介して食中毒が発生することがあります。キャンプ場の井戸水や簡易水道が汚染されていることがあると集団食中毒になることがあります。

 カンピロバクター腸炎の潜伏期間は1~7日と比較的長く、下痢、発熱、腹痛、悪心、嘔吐などの症状を示します。下痢はほぼ全例に認められ、約40%は血便を示します。

 とくに乳幼児や体力、免疫力の低下した人は全身感染を起こすことがありますから注意が必要です。

2007年8月8日掲載

© TOKUSHIMA MEDICAL ASSOCIATION.