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 最近では生活パターンの変化から運動不足や食事形態の洋風化などが進み、大人も子どもも肥満になる人が増えています。今月は肥満のなにが問題になるのか、肥満の基準、肥満の背景などについて考えてみました。

 最近の日本人の子どもたちの身長と体重の変化を見ると、身長はほぼ伸び止まりであるのに対して体重は増え続けています。つまり肥満している子どもたちが増えているのです。

 肥満の原因には過食や運動不足が考えられますが、とくに必要以上の栄養を取ることで、からだに余分な脂肪が蓄積することが肥満です。

 子どもの栄養は運動などで消費される分と、成長に使われてからだに蓄えられる分が必要です。これらを除く余分なカロリーが脂肪として蓄えられるわけです。運動によって骨や筋肉が増加するものは肥満ではありません。蓄えられた脂肪が増加することによって将来からだの異常を引き起こすことが問題になるのです。

 肥満はそれだけでは症状を示すことはありませんが、これに高血圧、糖尿病、高脂血症などを合併すると動脈硬化による病気の発病率が高くなると言われます。これがメタボリックシンドロームと呼ばれる状態で、最近とくに生活習慣病として重要視されるようになりました。

 成人でこのような生活習慣病が問題になる背景には、その予備軍として子どもの肥満が増えていることが挙げられます。

 子どもの肥満の中でも乳児の肥満は大人の肥満につながることはないと言われています。しかし3歳児の肥満になりますと、多くは小学生の肥満と密接な関係を持つようになり、これが成人の肥満につながることが多いと言われます。

 また両親または片親が肥満の家庭に育った子どもは、3歳時には肥満でなかった子どもも、小学生の時には肥満になる危険性が高くなるとされます。このように肥満の原因には遺伝的な素質とともに、食生活をはじめとする生活環境の影響が大きいものと考えられるのです。

2006年12月12日掲載

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