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県民の皆さまへ

 今月は迅速検査を中心にお話ししてきました。検査の発達とともに治療も進歩してきました。検査は簡単で短時間に結果が得られてとても便利なものです。

 インフルエンザ迅速検査とウイルス分離の結果が一致する割合は80~90%であり、迅速検査のウイルス検出率はかなり正確なものだと言えます。この検出率は成人よりも小児のほうが高く、またA型のほうがB型よりも高いとされます。

 迅速検査の結果は試料に含まれるウイルス量に影響されます。発病初期にはウイルス量はまだ増加中であり、発熱数時間以内の検査の感度は10%くらい低いとされます。またウイルスの排出期間は乳幼児のほうが持続してウイルスが排出されますから小児のほうが長く陽性が続きます。抗ウイルス剤の投与後もしばらくは検査陽性が続きます。

 検査法はウイルスと特異抗体を反応させて発色させます。その色調を目で確認する方法で判定しますから、色調が弱い場合には判定する人によって陽性・陰性の判断が分かれることがあります。検査試料の取り方によっても検査結果に影響が出ることがあります。

 インフルエンザ流行の最盛期には検査で陰性の人の中にもインフルエンザの人が紛れ込むことが多くなります。職場や学校で流行しているときや、家庭内に患者さんが居るような場合には、その症状からインフルエンザの診断をつけることもあります。検査が陰性であってもその症状から臨床診断をすることで早めに治療開始することも大切なことです。

 インフルエンザの検査や治療は進歩していますが最も大切なのは予防です。できるだけ多くの人が予防接種を受けて職場や学校、家庭内にインフルエンザを持ち込まないようにすることが大切です。

 もしインフルエンザにかかった場合には隔離して安静を守ります。治療して熱が下がってもしばらくはウイルスが排出されますから症状が完全に消失するまでは通学や通園は中止します。新型インフルエンザの場合でももっとも大切なことは周囲の人にうつさないことです。

2006年11月28日掲載

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