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 子どもの発熱は小児科外来や救急外来を受診する原因の第一位です。発熱の原因で最も多いのは感染症ですが色々な原因が隠れていることがあり注意が必要です。今月は体温と発熱についてお話ししてきました。

 人の体温は生理的に一定に保たれていて、感染症にかかると細菌やウイルスによる外因性発熱物質や体内から出る内因性発熱物質が体温中枢を刺激し設定温度が上昇します。その結果、体温が上昇すると同時に免疫機能が活性化されます。感染症が治癒すると設定温が元に戻り体温は下がります。つまり生体は感染症を治すために発熱するのです。

 発熱は生体の正常な防衛反応であり、病気そのものではないのです。従って発熱に対する処置を急ぐ必要はありません。感染症の発熱に対して解熱剤を投与しても感染症が治る訳ではありません。発熱の原因は感染症ばかりではありません。はっきりした発熱の原因が判るまでは解熱剤の投与を控える方が良いでしょう。その理由は、強制的に解熱させることで原因疾患を隠してしまうことがあることや感染症の中には解熱することでかえって病気を長引かせてしまうことがあることなどです。また熱が下がったことで病気が治ったと勘違いして、そのために検査や治療の時期を逃してしまうことがあるからです。

 発熱が持続する間は病気が治ったとは言えません。病気によって、熱はすぐには下がらないものです。全身状態が良ければ数日間の発熱は原因がはっきりするまで待つことも大切です。
 子どもにとって解熱するまでの間はつらいものです。発熱の程度と疾患の重症度は相関すると言われますが、高熱でも比較的元気な子どももいれば、比較的低い熱でも全身状態が悪い場合もあります。食欲や機嫌を参考にして発熱を経過観察していくことが大切で す。解熱剤を使用するかどうかについては小児科医の間でも意見が分かれる所です。全身状態が良い場合には待つことも大事な治療です。

2003年8月26日掲載

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