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【質問】 立ち上がると尿漏れる

 70代の女性です。数年前から尿を漏らすことが多くなりました。座った状態から立つと漏れることもあります。トイレに行くのは1日に6~7回です。病院に行きましたが、尿検査に異常はなく「高齢だから仕方ない」と言われました。処方された薬は効果がなく、便秘になったので服用をやめました。夜中も尿意を催して2~3回起きてしまい、昼夜問わずおむつをしています。治療方法はありませんか。



【答え】 尿失禁 -訓練・服薬が駄目なら手術-

徳島県立中央病院 泌尿器科部長 神田和哉

 尿失禁には、腹圧性、切迫性、溢流性(いつりゅうせい)、機能性の4種類があります。

 腹圧性尿失禁は、くしゃみをした時や重いものを持ち上げた時など、腹圧が急にかかった時に起こる尿失禁です。

 切迫性尿失禁は、強い尿意が急に起こり、トイレに行くまで間に合わずに尿が漏れてしまう尿失禁です。この場合、膀胱(ぼうこう)に尿が十分たまるまで我慢できず、少し尿がたまるとトイレに行くようになります。そのため、尿の回数が多くなる頻尿という症状も起こってきます。

 溢流性尿失禁は、排尿障害があり、常に膀胱内に尿が充満した状態で、じわじわと尿が漏れ出る尿失禁です。

 機能性尿失禁は、排尿機能は正常なのにもかかわらず、身体運動機能の低下や認知症が原因で起こる尿失禁です。

 ご質問の「座った状態から立つと漏れる」という症状は腹圧性尿失禁に当たります。「夜中も尿意を催し2~3回起きてしまう」なら切迫性尿失禁もあると考えられ、尿失禁の種類としては腹圧性と切迫性の混合型と思われます。

 腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁の治療としては▽行動療法▽薬物療法▽手術療法-があります。

 行動療法には膀胱訓練と骨盤底筋体操があります。膀胱訓練とは、尿意があってもすぐ排尿せず、尿を十分にためる蓄尿練習をすることです。骨盤底筋訓練とは、弱くなった骨盤底筋を強化して尿道を閉じる機構を強くする体操で、肛門や腟を意識的に締めたり緩めたりするものです。

 薬物療法で主に投与されるのは、抗コリン薬という薬です。抗コリン薬は膀胱の筋肉の緊張をほぐし、収縮を抑えて尿漏れを改善します。副作用としては口の渇きや便秘があります。排尿障害がある人は、この薬で膀胱の収縮力が抑えられ排尿障害が悪化するので使えません。

 手術療法として主に行われているのは、尿道をつり上げる尿道スリング手術(TVT手術、TOT手術)です。尿道の下をメッシュ状のテープで補強するもので、腹圧がかかる時に尿道にくびれを作るようにし、尿失禁を防ぎます。手術は1時間弱で、入院は数日間です。

 ご質問によると「昼夜問わずおむつをしている」ということですので、尿失禁の程度としてはやや高度であると考えられます。そして薬を飲んで便秘になったということから、抗コリン薬を服用されたのではないかと思います。しかし、抗コリン薬の効果もすぐには現れないことがよくあります。そのため、まず膀胱訓練と骨盤底筋訓練を行って便秘のコントロールをしながら、抗コリン薬を併用されてはいかがでしょうか。

 抗コリン薬も数種類ありますので、自分に合った副作用の少ない薬を選択すれば良いと思います。それでも効果が不十分であれば、手術も検討されたら良いと思います。

 最後に、尿失禁にはいろいろなタイプのものがあり、また他の病気によって尿失禁になっている可能性もあります。治療方法は、そのタイプや原因、尿失禁の程度によって変わってきますので、一度泌尿器科を受診されることをお勧めします。

徳島新聞2011年9月18日号より転載

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